糸魚川市島道雪崩災害 雪中から遺体発見 不明の55歳男性

 糸魚川市能生地域の島道で23日に発生した雪崩災害で、家族と連絡が取れず行方不明になっていた同所の入浴施設「島道鉱泉」の能登匡史さん(55)は、25日午前11時10分に雪中から発見された。同11時40分、捜索隊が救出し死亡を確認。同11時49分、家族が本人と確認した。

行方不明者の捜索活動(糸魚川市提供)

 災害現地本部(市能生事務所内)によると、25日は午前7時50分に捜索開始。警察13人、消防署12人、消防団3人、能生事務所1人、重機作業員1人の計30人体制で活動した。同8時30分、前日発見されていた軽ワゴン車を雪中から掘り出したが、能登さんの発見に至らなかった。

 午前11時すぎ、発見の知らせが入ると現場指揮本部に緊張が走った。能登さんの家族2人が出向き、本人と確認。憔悴(しょうすい)と落胆の表情で戻った。

 能登さんと昨年まで一緒に働いていたという元同僚の男性(68)は同日、安否を心配して現場付近に駆け付けた。今年1月に島道鉱泉を訪ねた際は積雪が1メートルほどあり、市道から歩いて15分ほどかけて向かったという。「(能登さんは)高齢のお義父さんを気遣い、今度は自分が除雪をやるために重機の使い方を覚えなければと言っていた」と力ない声で話した。

雪中から掘り出された軽トラックの搬送

◇追悼と注意喚起 米田市長コメント

 行方不明者の発見を受け、災害現地本部は同日午後3時に解散した。米田徹市長は「残念ながらお亡くなりになった。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。現地本部は解散するが、融雪災害警戒本部で引き続き警戒していく」とコメントを発表。山間部を中心に平年を上回る積雪があり、今後気温が上がる予報から雪崩の危険性が高まっているとし、市民に十分な注意とともに、兆候を発見した場合の消防本部への連絡を呼び掛けた。

島道雪崩災害の現場(県糸魚川地域振興局提供)

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