小泉今日子「The Stardust Memory」高見沢俊彦の提供曲に坂崎幸之助も大喜び!  小泉今日子 デビュー40周年のアニバーサリー・イヤー!

伝説始まる、自らの殻を破った小泉今日子

キョンキョンこと小泉今日子がデビューしたのは1982年。この年は「花の82年組」と呼ばれたアイドルが豊作な年で、当時、熱狂的な松田聖子のファンだった僕も、中森明菜と小泉今日子からは目が離せなかった。中森明菜は2枚目のシングル「少女A」ですでにブレイクを果たしていたが、キョンキョンはあと一息という印象。4枚目のシングル「春風の誘惑」が初のTOP10入りを果たしても、中森明菜と比較すればまだ大ブレイクには至ってなかった。

そんな時期に有名なショートカット事件が起きるのだが、キョンキョンはそれまでの聖子ちゃんカット風ヘアスタイルを、事務所に無断で刈り上げ風のショートカットにしてしまったのだ。

本人の後日談では、事務所には「美容院に行って来ます」とは断りを入れたらしいのだが、もはや確信犯だったと思う(笑)。「春風の誘惑」のヒラヒラドレスにこのショートカットは全く似合っていなかったが、この時期が自らの殻を破ったキョンキョン伝説の始まりだと言っても過言ではない。

主演映画 “生徒諸君!” 主題歌「The Stardust Memory」

ショートカットになったことで吹っ切れたキョンキョンは、そこから他の82年組とは違う輝きを放ち始めることになり、1984年に発売されたシングル「渚のはいから人魚」「迷宮のアンドローラ」「ヤマトナデシコ七変化」「The Stardust Memory」はすべてオリコンの1位を獲得している。

今回ご紹介する「The Stardust Memory」は1977年から1985年に『週刊少女フレンド』で連載された原作・庄司陽子による『生徒諸君!』の映画の主題歌。もちろんこの映画の主演はキョンキョンで、映画出演2作目で初の主演ということになった。

近年の映画やドラマは少女コミックによる原作は珍しくないが、当時映画化された漫画は少年雑誌に掲載された原作がほとんどだったと記憶している。おそらく当時としてはかなり画期的な映画化だったのではないだろうか。

主人公のナッキーこと北城尚子の自由奔放なキャラクターも当時のキョンキョンの明るいイメージに似合っていたと思うし、セーラー服のスカートをちょっとつまんだ『生徒諸君!』のポスターを見て、当時の10代男子たちはきっと悩殺されたはずだ(笑)。

高見沢俊彦初の提供曲「The Stardust Memory」

「The Stardust Memory」は1984年12月21日に発売された、通算13枚目のシングルで、作詞・作曲を手掛けたのは前年にシングル「メリーアン」でブレイクを果たしたALFEE(現在はTHE ALFEE)の高見沢俊彦(作詞は高橋研との共作)。これまでに多くの楽曲提供をしてきた高見沢さんだが、なんとこの曲が初の提供曲だったそう。

しかしそんなプレッシャーをはねのけ、見事ポップでメロディアスな名曲が完成したが、実はメンバーの坂崎幸之助が大のキョンキョンファンで、この楽曲提供をまるで自分のことのように喜んでいたそう(笑)。ALFEEファンの友人に聞いた情報によると、オールナイト・ニッポンで毎週のようにこの曲をオンエアしていたそうなので、相当の大ファンだったのだろう。また、『夜のヒットスタジオ』などの歌番組で一緒になった時に、坂崎さんはさぞかし嬉しかったと思う(笑)。

夜ヒットでこの曲についてのコメントを求められたキョンキョンは「この曲をコンサートで歌っていると、ファンの人を抱きしめたくなる」と答えていて、本人にとってもとても大切な1曲だったということがわかる。ちなみに高見沢俊彦はその後もキョンキョンに「ハートブレイカー」や「木枯らしに抱かれて」といった代表曲を提供しているが、Spotifyの再生回数を見てみると80年代の楽曲で断トツの人気曲は「木枯らしに抱かれて」で、その後に「夜明けのMEW」「渚のはいから人魚」「The Stardust Memory」が続いている。

アルバム「Ballad Classics」に収録、アコースティックアレンジも必聴!

1987年12月1日に発売されたアルバムに『Ballad Classics』がある。過去のアルバムに収録されていたバラード曲を中心に、新録音も収録したキョンキョン初のバラード集だ。バラード集とは言っても、ミディアムテンポの楽曲を中心に収録していて、車の中で聴くにもぴったりのコンセプトアルバムだった。

このアルバムには「The Stardust Memory(Slow Version)」が収録されている。もちろん星屑が降って来そうなシングルのアレンジも好きだが、アコースティックギターと弦を中心としたこちらのアレンジもとても素敵。まだ聴いたことのない方には是非聴いていただきたい。

最後に。今年でデビュー40周年を迎えるキョンキョン、これからもずっと僕たちをドキドキさせてくれる存在でいてください。改めてデビュー40周年おめでとうございます!

カタリベ: 長井英治

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