カネミ油症 3者協議、国の姿勢に不満噴出 入院時食費支給巡り

 長崎県などのカネミ油症被害者と国、原因企業カネミ倉庫(北九州市)による第18回3者協議が26日、オンライン形式で開かれた。被害者側は、入院中の食費を医療費として支給するよう求めているが、国は終始消極的。記者会見で被害者側からは「患者のことを本当に考えているのか」などと不満が噴出した。
 国は政府米をカネミ倉庫に保管し、同社はその保管費用から被害者の医療費を出している。以前、入院中の食費は支給されていたが、健康保険適用の対象外となったため自己負担に。これまでも国や同社に支給を求めてきていた。
 協議は非公開。被害者側によると、所管する農林水産省の担当者は保険適用内の医療費は支給しているとする一方、入院中の食費への言及は避けた。被害者側は「支給されていたものがなくなっている。国は医療費の安定的な支給に向けてカネミ倉庫に指導すべき」と強く訴えたという。
 終了後、被害者側は子や孫ら次世代の救済に向けた調査が実施されている点に触れ、「(救済すべき被害者が)増えていくかもしれない。医療費をきちんと受けられるのか」と不安視する声も上がった。
 油症認定の可否を専門的に判断する「診定委員会」の概要を示すよう被害者側が求めている点について、厚生労働省は今夏までに回答するとした。


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