家族思い涙止まらず…「他の国の助け必要」 沖縄で暮らすウクライナ出身女性の思い

 【恩納】ロシアのウクライナ侵攻を受け、ウクライナ出身で、恩納村在住のオクサナ・ブルドゥジャンさん(38)は故郷の家族の身を案じている。
 25日までに琉球新報の取材に応じ、「心配で涙が止まらない」と心境を明かした。
 ブルドゥジャンさんは2008年までウクライナで暮らしていた。現在は、沖縄科学技術大学院大学(OIST)で事務補助員として働きながら、美術教室を開くなどの活動をしている。両親と兄弟、94歳の祖母がウクライナ中部のドニプロで暮らす。
 現時点で、家族の無事は確認できているというが、刻々と動く情勢に気は休まらない。
 
 「とても衝撃的なニュースだ。まだ信じられない」。ウクライナ侵攻が始まった24日、一報に接し動揺を隠しきれなかった。ドニプロのほかロシアとの国境に近いルハンスクにも親戚が住んでいる。「安全ではない状況だと思う。隠れる場所もないはず」と気がかりだ。
 ドニプロの家族とは頻繁に連絡を取り合い、現地の状況を聞いている。母は現金自動支払機や店に大行列ができているなど混乱した様子を目撃した。ロシア軍は空港を攻撃している。家族は空港からとみられる騒音も聞いたという。「現地の人はみんなおびえている」と心を痛めている。
 ブルドゥジャンさんの両親は祖母をニュースから遠ざけているという。祖母は第2次世界大戦を経験しており、大きなショックを受けるからだ。25日、ロシア人の友人とも電話した。ロシア軍によるウクライナへの侵攻を非難しているという。
 ブルドゥジャンさんは「プーチン大統領は軍事攻撃をやめて紛争解決に向け、交渉のテーブルに着いてほしい」と話す。「今のウクライナは弱い立場にあり、他の国の助けが必要だ」と強調。「ウクライナのために、平和のために沖縄の人にもぜひ祈ってほしい」と呼び掛けた。
(長嶺晃太朗)
 

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