子どもから大人まで夢中になれる現代アート!新しい文化の創造を担う「金沢21世紀美術館」の魅力

魅力的な現代アートがそろう「金沢21世紀美術館」

伝統工芸で名高い城下町・石川県金沢市には、年間250万人を超える来場者数を誇る「金沢21世紀美術館」があります。

2004年の開館以来、数多くの観光客を引きつけて止まない美術館。今回はその魅力について5つご紹介します。

1. 「まちに開かれた」建物の魅力を堪能できる!

金沢市中心部に位置する建物、金沢21世紀美術館は世界的に有名な建築ユニット、「妹島和世(せじまかずよ)+西沢立衛(にしざわりゅうえ)/SANAA」のデザインによるもの。

美術ファンのみならず、多くの建築ファンが見学に訪れる独創的な建築です。

建物は円形で、全方向に入り口があり、「表と裏」という概念はありません。

周囲は開放的なガラス張りで、屋内にいても空や緑など、外の風情が楽しめます。「まちに開かれた公園のような美術館」というのが建築コンセプトなのです。

この美術館を一躍有名にした恒久展示作品からご紹介していきましょう。

2. 童心にかえり「スイミング・プール」を楽しむ!

本多通り口(東口)から入ると、左手に総合案内とチケット販売の窓口があります。

チケット売り場をさらに進むと、ガラスを隔てた中庭に人だかりが……。

幅4m、長さ7mほどのプールがあり、来館者の方が不思議そうに覗き込んでいます。記念撮影をする人も多くいました。一体どんな秘密があるのでしょう?

端まで近づいてみると、水の中に人影が見えますが、潜っている風でもなく、水の底を歩いているようです……不思議!

その秘密は、別のルート(展示室6)から入るプールの地下にあります。ガラスの上に深さ10センチほどの水が張られて、その下に水色に塗られた水槽がある、というシンプルな仕掛けです。季節や天気によっても印象が変わる面白さがあります。

なお、地上から見るプールは無料鑑賞エリアですが、地下は有料エリアです。料金は一般360円、大学生280円、いずれも税込です。高校生以下は無料。

作品名は「スイミング・プール」(制作年:2004年)。アルゼンチン出身のアーティスト、レアンドロ・エルリッヒの作品です。

地下からは地上がこんな風に見えます。見知らぬ人同士が、スイミングプールという空間で出会い、笑顔が生まれ、誰かに伝えたくなる。新しいコミュニケーションが生まれるような作品です。

3. 様々な恒久展示や特別展を鑑賞できる!

「スイミング・プール」以外にも、数多くの恒久展示作品があり、無料で鑑賞できる作品、写真撮影可能な作品もあります。館内案内や表示で確認しながら、思い思いのルートで楽しんでください。

上の写真は、ベルギー出身の美術家ヤン・ファーブルの「雲を測る男」(制作年:1998年)。ほぼ中央に位置する建物の屋上にあります。

有料ゾーンにある「緑の橋」(制作年:2004年)は、フランス出身のアーティスト、パトリック・ブランの作品。厚さ14cmほどの壁面が、金沢の気候に合った100種類の植物で覆われています。季節に応じて異なる印象を与えてくれる、まさに生きているアート作品。

アメリカの現代美術家、ジェームズ・タレルの「ブルー・プラネット・スカイ」や、アイスランドの芸術家、オラファー・エリアソンの「カラー・アクティヴィティ・ハウス」など、記事ではご紹介しきれない恒久展示作品の数々をぜひ現地で楽しんでください。

常設展示以外にも、素晴らしいキュレーションによる特別展が随時開催されています。訪問の時期に合わせて公式HPで確認してください。

4. ミュージアム・カフェでひと休み!

アート鑑賞の合間にカフェレストラン「Fusion21」でひと休みしてはいかがでしょう? 白を基調としたモダンなインテリアも見どころのひとつ。

写真は「かなざわ美人プレート」セット(税込680円)。小ぶりのチーズケーキがついてきます。飲み物は日本茶、ハーブティー、ジャスミンティーのいずれかを選ぶことができます。

5. ミュージアムショップで買い物を楽しむ!

網目状のフェンスで囲まれた円形のミュージアムショップが2ヶ所あります。

Shop 1では、展覧会のカタログや美術書、オリジナルグッズやポストカード、金沢に関連したものなどが販売されています。

人気の高い一冊は美術館の「オフィシャル・ミュージアム・ガイド」。定価は税別1,200円で、英語が併記されています。

便利な設備や多言語の取り組みをご紹介

美術館には、車椅子、コインロッカーなどの設備があります。子ども連れの方にはベビーカーや授乳室、キッズスタジオでの子ども向けワークショップやプログラム(日本語のみ)、託児室(有料)があります。

ベビーカーや車椅子は館内3カ所(総合案内、市役所口、地下入口)に設置されています。そこにあれば自由に借りることができますよ。

全館バリアフリーで、どんな方でも安心してアート鑑賞を楽しめる環境が整っています。

日本語以外に、英語・フランス語・スペイン語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語の館内案内があります。実際の表示や展示物の説明も、多くが日英併記されています。

美術館の方向性とこれから

今回の取材で、金沢21世紀美術館の落合広報室長と坂元さん(左)に、美術館の今後や海外からのお客様の動向などについてお話を伺いました。

――伝統工芸の街金沢にあって、現代アートを中心とする美術館の役目は?

落合さん:2000年代のモダンアートを次世代に伝えていくことだと考えています。

当館は、「新しい文化の創造」と「新たなまちの賑わいの創出」を目的として開設されました。江戸時代以来、大きな戦災に遭っていない金沢の街は、常にその時代の一番優れたものを次世代に継承してきているため、今後も同様の役割を担っていきたいです。

――美術館には子どもたちが多い印象がありますが、どういった取り組みをされていますか?

落合さん:子どもたちのためのプログラムやワークショップを開催するキッズスタジオ、金沢市内の小学4年生を招待するミュージアムクルーズなど、幼い頃から美術館体験をして、アートに対する感性を養うお手伝いをしています。

プログラムは日本語になりますが、外国のお客様でもご参加いただけますよ。

――来館にあたり、注意点を教えてください。

落合さん:美術館の中で大声でお話されたり、撮影不可の場所で写真を撮ろうとされる方もいます。周りの方に配慮した鑑賞マナーにご協力いただき、楽しい時間を過ごしてください。

――最後に、海外からのお客様にメッセージをどうぞ!

落合さん:金沢はクルーズ船の寄港もあるためか、海外からたくさんのお客様においでいただき嬉しく思っています。ぜひ楽しんでいってください。

おわりに

写真撮影可能なエリアも多く、現代アートの秀作が勢ぞろいした金沢21世紀美術館。すべての人に開かれた美術館で、アート鑑賞のひとときはいかがでしょうか。

取材協力:金沢21世紀美術館

© 株式会社MATCHA