クラスターの3割が高齢者施設 コロナ「第6波」で和歌山県

和歌山県庁

 新型コロナウイルスの「第6波」(1月4日から)で、和歌山県が20日までに認定したクラスター118件のうち、最も多かったのは高齢者施設の41件で、全体の34.7%を占めた。この41件で約500人の利用者が感染した。高齢者や基礎疾患がある人は重症化する恐れがあるとして、県は3回目のワクチン接種を推奨するとともに、十分な感染防止対策を呼び掛けている。

 県内のクラスターは20日時点で209件。このうち半数以上が「第6波」で発生した。高齢者施設に次いで多かったのは児童施設25件(21.2%)で、学校19件(16.1%)、医療機関11件(9.3%)が続いた。

 昨年3月14日~7月10日の「第4波」では全32件のうち、飲食・カラオケ・イベントが最も多い16件で半数を占め、高齢者施設は4件。昨年7月11日~今年1月3日の「第5波」(32件)では職場関連の10件が最多で、高齢者施設は2件だった。

 「第6波」で高齢者施設のクラスターが多い要因には、職員と利用者が密接になりやすいこと、マスクを着用していない利用者が多いこと、ワクチン接種により症状が軽微で感染に気付きにくい職員が勤務を続けたこと、オミクロン株の感染力が強いことなどが挙げられるという。

 「第6波」の感染者数は、これまで最多だった「第5波」2600人の5倍を超える1万4618人だった。

 「オミクロン株」は感染力が強いが、比較的軽症で推移するとされる。ただ、高齢者や基礎疾患がある人は重症化や死亡の事例が目立っている。「第6波」で、10日までに肺炎を確認した353人のうち、70代以上は193人(54.7%)に上った。肺炎患者の基礎疾患は高血圧が104人と最多で、心疾患63人、糖尿病62人、肥満と喫煙が29人ずつなどとなった。

■6カ月後は減少 ワクチンによる抗体値

 ワクチン接種で得られる新型コロナに対する抗体「S抗体値」について、県は病院の協力を得て高齢者施設関係者を対象に追跡調査している。

 入所者89人について、2回接種後6カ月に当たる今年1月の「S抗体値」をみたところ、効果が十分あるとされる「250ユニット/ミリリットル」超あったのは18人だった。接種後1カ月に、この数値を超えていた人は入所者90人中35人だったため、半数近くに減少した。

 これについて県福祉保健部の野尻孝子技監は「高齢者は比較的、抗体値が低い傾向にあり、6カ月後にさらに低下している」と指摘。特に高齢者らについて「3回目の追加接種で重症化予防が期待されるので、接種を勧奨したい。ただ、追加接種しても感染しうるという意識を持ち、感染予防対策を徹底してほしい」と話した。

■致死率0.2% インフルより高い

 新型コロナ(間接死因を含む)致死率についてもまとめた。県内では今年0.20%、昨年は1.15%となっており、0.02~0.03%と推定される季節性インフルエンザに比べ、かなり高いとみられるという。

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