水森かおり 初の千葉県を舞台にしたご当地ソングをリリース「新たな出会いが待っているようでワクワクしています」

昨年発売した『鳴子峡』が、18作連続でオリコン・シングルランキング初登場トップ10を果たし、女性演歌歌手の記録を更新した水森かおり。昨年末の「紅白歌合戦」では清水寺からの中継というサプライズ演出で日本中をわかせた。そんな勢いに乗るご当地ソングの女王の2022年は、31枚目のシングル『九十九里浜』のリリースでスタートを切った。「今年は皆さんの元に直接、歌声を届けたい」と語る水森かおりに、初めて千葉県を舞台にした新曲への思いと、これからの展望を聞いた。

昨年末19回目の紅白出演を果たした水森かおり。リハーサル時の記者会見で「日本を代表する場所で歌います。そろそろ行きますね」と意味深な発言を残して会場を去った水森だったが、その行先は京都。雪の降る中、清水の舞台から山口百恵の『いい日旅立ち』を熱唱した。

昨年は、初めてづくしの紅白でした。大先輩の歌を歌わせていただくのも初めてなら、中継も初めて。紅白という特別なステージというだけで毎回、緊張するのに、今回はいつもとはまた違った緊張感がありました。当日のステージの前に新潟や静岡など、1カ月近くかけて、6府県24カ所でロケをして、映像を収録していましたので、最終的にどういう仕上がりになるんだろうっていうワクワク感もありました。こんな演出を考えてくださって光栄でしたし、同時にしっかり務めなくてはというプレッシャーも感じながらの紅白でした。

2003年に『鳥取砂丘』を歌って以来、紅白出場19回は、男女合わせても約30人、19年連続の出場となればさらに少なくなる。ご自身ではどう受け止めているのだろうか。

本当ですか。いや、もう毎年、精一杯仕事してその結果で選んでいただけるのが紅白ですから、一回一回出場できる喜びが大きくて正直、回数は意識したことがありませんでした。でも、こういう数字などをお聞きすると、改めて重みを感じますね。

2月15日には新曲がリリースされた。今度の舞台は千葉県・九十九里。その名も『九十九里浜』だ。これまで水森がまだ歌っていない土地はあと4県。徳島・宮崎・福岡、そして千葉だった。今回は残りの4県から千葉を取り上げたということなのだろうか。

いや、それは全然、関係ありません。だって“全国制覇”が目的だったら、当の昔にコンプリートできているはずですから。あくまで歌の舞台にふさわしい土地を先生方やスタッフの皆さんが考えてくださって、九十九里浜になったということです。ただ、残りもわずかになってきて、皆さんが(全県制覇を)期待してくださるのは励みになります。

作曲は、2002年リリースの『東尋坊』から一貫して水森の曲を作ってきた弦哲也。「曲を聴くだけで、先生の思いは理解できる」と語る水森にとっては、師匠であり同志的存在だ。

先生とは『東尋坊』以来、“ご当地ソング”という一本道を一緒に歩んで戦ってきた仲です。なので、レコーディングの時も、細かいことは話さなくても、お互い「分かるでしょ」、「はい、分かります」という関係。逆に「ここはどう思う」と先生から相談してくださることもあって、一緒にひとつの作品を作り上げていっているという感覚です。とはいえ、先生がお持ちの作曲家としての世界にはいつも感心させられます。今回の『九十九里浜』でも、冒頭の「ヒュルヒュルと~」の部分を聴いた瞬間、ノックアウト!心を打たれました。聞く人の心を一発でつかんでしまう、やっぱり先生の作り出す世界はすごいなと感じました。

確かに歌い出しの2行を聴くだけで、九十九里浜の大自然の風景と砂浜に佇む女性の心情が浮かんでくる。この曲は、どんなことを大事に歌えばいいのだろう。

どこまでも続く九十九里の砂浜と青い海、大きな空――スケールの大きい曲ですから、そのスケールを感じて、大きく、大きく、声を前に出すイメージが大事だと思います。それからカラオケなどで歌う時には、真ん中あたりで曲がメジャーに転調するところがありますので、その部分で気持ちを切り替えて歌うといいと思います。(主人公の女性の)いろんな感情を表現できる歌だと思いますので、そのあたりも心に止めて歌ってみてください。

今回の『九十九里浜』は、ジャケット写真とカップリング曲が異なる2タイプが同時に発売になった。タイプAでは、『房総半島 吹く風まかせ』が、タイプBは『犬吠埼』がカップリング曲として収録されている。

『房総半島 吹く風まかせ』はすごくさわやかな曲。1番から3番までそれぞれ千葉県内の地名が入っていて、こういう表現もあるんだなって新鮮でした。さすが(伊藤)薫先生、歌っていてとても気持ちよかったです。タイプBの『犬吠埼』を作曲してくださった大谷(明裕)先生も少しフォークの感じがする、こちらもさわやかなメロディー。2曲とも房総半島の風景を思い浮かべながら、気持ちよく歌わせていただきました。

ご当地ソングを歌い始めてから早22年。無理を承知で、これまで歌ってきて特に思い出深い場所を教えてほしいとリクエストすると、

それぞれに思い出はありますけれど、逆の意味で思い出深いのは、『瀬戸内 小豆島』(2020年)ですね。コロナで何もできなかったという意味で。2020年はちょうど私のデビュー25周年の年。精力的に全国を回って25年の感謝をしつつ『瀬戸内 小豆島』を一人でも多くの方に聴いていただこうと思っていただけに悔しかったです。結局、曲が発売になってからは小豆島に一度も行けなかったことが心残りで。私は新曲を出すと、その年は何回も曲の舞台になった場所を訪れてきましたし、その後も地元の方との繋がりを大切にしてきました。小豆島の方々からは、たくさんお手紙もいただいたのに、未だにお邪魔できていない。コロナが収束したら、必ず島に行って、恩返しがしたいと思っています。

最後に今年、新しく挑戦したいことはないかを尋ねると、こんな話題から話に花が咲いた。

うーん、プライベートでは特にないかな(笑)。私、休みの日はほとんど外に出ませんし。以前は家でBS放送の刑事ドラマを各局はしごして見ていました。それが楽しくて一日が終わっていましたね(笑)。趣味ですか、その質問に苦しめられてきた27年間なんですよ(笑)。いつもお友達に誘われたりして、その都度、ハマるものはあるのですが、すぐに飽きちゃって。過去に趣味欄に書いていたのは料理、ダーツ、イラストロジックなどなど。その度に道具は揃えるのですが、揃えたところでもういいやって(笑)。小学生の頃から作文は得意で、今もブログを書いたりするのは楽しいんですけどね。だから今年も家にこもっていると思います(笑)。

では仕事面ではどんな年にしたいかとたずねると、

今年こそキャンペーンをやりたいです。一カ所でも多くファンの皆さんの地元に行って、直接、私の姿を見て、歌声を聴いていただきたい。今回の曲は初の千葉県が舞台、また新たな出会いが待っているようで、ワクワクしています。私の千葉のイメージは、お客様が“熱い”ということ。皆さん、すごく喜んで迎えてくださるので、お邪魔するのをいつも楽しみにしています。だからこそ、早く『九十九里浜』を持って千葉県の隅々まで皆さんに会いに行きたい。千葉の皆さんの圧倒的な“熱量”を感じたいと思っています。

水森かおり『九十九里浜』

デビュー27年目を迎えた“ご当地ソングの女王”、水森かおりが悲しい恋を切々と綴る……2022年の勝負作!

発売中

【タイプA】
品番:★12CDS:TKCA-91401
価格:¥1,227+税
__[収録曲]
__1\.九十九里浜
2.房総半島 吹く風まかせ
3.九十九里浜(オリジナルカラオケ)
4.房総半島 吹く風まかせ(オリジナルカラオケ)
5.九十九里浜(半音下げカラオケ)
6.房総半島 吹く風まかせ(半音下げカラオケ)
7.九十九里浜(半音下げカラオケ・ガイドメロ入り)
8.房総半島 吹く風まかせ(半音下げカラオケ・ガイドメロ入り)

【タイプB】
品番:★12CDS:TKCA-91402
価格:¥1,227+税
__[収録曲]
__1\.九十九里浜
2.犬吠埼
3.九十九里浜(オリジナルカラオケ)
4.犬吠埼(オリジナルカラオケ)
5.九十九里浜(半音下げカラオケ)
6.犬吠埼(半音下げカラオケ)
7.九十九里浜(半音下げカラオケ・ガイドメロ入り)
8.犬吠埼(半音下げカラオケ・ガイドメロ入り)

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