“誇り高き戦略国家として行動する ” / 激変の時代と朝鮮の進路 ① 労働党規約の改正と国家活動の「新たな前進」

米国の一方的で不公正な対外政策に起因する米中新冷戦の構図が深まり、ウクライナ問題をめぐるロシアと欧米諸国の対立が激化している。国際情勢がさらに不安定さを増す中、北東アジアの一角で社会主義強国建設を進める朝鮮はどの道を歩もうとしているのか。

新たな高揚期、壮大な激変期

現在、朝鮮の内外政策が展開される様相を理解するためのキーワードは「高揚期」、「激変期」だ。

今日、朝鮮の指導部が思い描く未来は、過去の単なる延長ではない。朝鮮労働党第8次大会(2021年1月)が分水嶺となった。

朝鮮労働党第8回大会は、党と国家の全般事業を新たな革新、大胆な創造、不断の前進を目指し奨励する方向に転換させると強調した。(朝鮮中央通信=朝鮮通信)

党第8回大会で金正恩総書記が行った開会の辞開は、総決期間すなわち党第7回大会(216年5月)後の5年間でさらに拡大強化された朝鮮の主体的力量とそれによって向上した国家の国際的地位は、社会主義建設の新たな高揚期、壮大な激変期が到来したことを明確に示していると確言した。

高揚期、激変期は偶然到来したわけではない。労働党が情勢を正確に判断し、正しい進路を選択した結果だ。

党第7回大会では、当時の国際情勢の特徴について、「支配権を確保しようとする列強間の葛藤と対立がさらに深まり、自主を目指す勢力と支配主義勢力の対決において、米国を筆頭とする帝国主義勢力・反動勢力が徐々に衰退没落している」ことだと看破した。米国が「唯一超大国」を自称する決定的契機となった1991年、社会主義ソ連の崩壊から25年後の国際情勢、世界の姿に対する労働党の観点は冷静で鋭かった。

列強間の葛藤と対立が深まる構図の中で、朝鮮は国力を増大させながら「地政学的要衝地論」を大胆に実践した。大国の利害関係が交差する北東アジアの中心に位置する朝鮮は、国力が脆弱で列強たちの角逐戦場になった歴史があるが、大国と力の均衡を実現し、要衝の地政学的条件を積極的に活用すれば、情勢発展のイニシアティブを堂々と行使することができるというのが金正恩総書記の地論であり信念であった。

金正恩総書記と習近平総書記(朝鮮中通信=朝鮮通信)

朝鮮が米本土を射程内に収める大陸間弾道ミサイル試射を成功させ、国家核武力を完成させた朝米対決の構図が変わった。一方、米国と対立していた中国とロシアは隣国・朝鮮と親善友好関係を強化発展させることに外交の焦点を合わせるようになった。戦略国家としての地位を固めた朝鮮は、国際舞台で臆することなく、主張すべきことを主張し、自国の政策的決定を貫徹していった。

金正恩委員長がプーチン大統領と対面した(朝鮮中央通信=朝鮮通信)

修正・補足された「当面の課題」

自国の力を増大させた5年、激動と変化の5年を経て、労働党がいうところの「わが国家第一主義の時代」、すなわち自尊と繁栄の新時代に入った。党第8回大会以後、朝鮮の政策に貫かれているのはまさにこのような時代精神だ。

わが国第一主義時代の政策は、党第8回大会で改正された党規約を指針として策定されている。労働党は「党と革命発展の激変は党規約の革新を要求し、党建設と党活動の新たな前進は、党規約の正しい改正から始まる」と説明している。ここに付け加えるならば、社会主義朝鮮の執権党である労働党の規約革新は、当然ながら過去と一線を画す国家活動の「新たな前進」をもたらすことになる。

今回の改正を通じて、党規約序文にある「当面する闘争と関連した内容」のうち、一部が修正・補足された。

国営メディアを通じて内外に公表されたのは3項目だ。

△社会主義建設と関連して「国家武力を政治思想的に、軍事技術的にたゆみなく強化する内容」を補足し、△「海外同胞の民主主義的民族権利と利益を擁護し、かれらを愛国愛族の旗の下に固く結びつけ、民族的自尊心と愛国的熱意を呼び起こすという内容」を新たに明記し、△祖国統一の課題と関連して「強力な国防力によって根源的な軍事的脅威を制圧し、朝鮮半島の安定と平和的環境を守る」ということを明確にした。

勝利を担保するのは強大な武力

党規約の序文に明記されたということは、朝鮮の社会主義執権党にとってそれだけ重要な課題であるということだ。

実際、党規約で修正・補足された内容は国の政策として具現され、高い目標が設定されている。海外同胞権益擁護に関しては、今年2月に最高人民会議で関連法が制定された。

党の課題で修正・補足された内容に注目すれば、労働党がいうところの「昨日と異なる今日の進一歩」が見えてくる。

国力を増大し続け、そのパワーによって国家(海外同胞)の尊厳を守り、国益(海外同胞権益)を擁護する。民族の宿願である祖国統一も、圧倒的な国防力によって戦争を抑止し、米国の分断・対決政策を完全に破綻させることで実現する。

国防発展展覧会開幕式に参加した金正恩総書記(朝鮮中央通信=朝鮮通信)

社会主義建設の高揚期・激変期に情勢発展のイニシアティブをしっかりと握り、より高い目標を達成するには、まず強くなければならないというのが労働党の観点だ。そして国力強化の核心的国策の一つが、党規約序文にも明記された「国家武力のたゆまない強化」である。

朝鮮において国防発展と自尊繁栄は不可分の関係にある。国際情勢が不安定さを増している激変期に北東アジアの要衝に位置する戦略国家の進路が変更されることはない。

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