大和の次男殺害容疑 神奈川県、児童相談所の対応検証へ

神奈川県庁

 大和市のアパートで2019年8月、小学1年の次男を窒息死させた疑いで母親が逮捕された事件を巡り、神奈川県は2日、裁判所への申し立ても含め、児童相談所の対応を検証する考えを示した。検証は、今後立ち上げる弁護士や精神科医らによる検証委員会が行う。

 県は同日の県議会厚生常任委員会で、事件を巡る児相の対応を報告。県中央児童相談所(現大和綾瀬地域児相)は事件前に2度、次男を一時保護し、18年2月には家裁に次男の施設入所の申し立てをしたが、横浜家裁は同年10月、不適当として申し立てを却下した。

 県はきょうだい3人の死亡の経緯や母親の病状などから施設入所が必要と判断したと説明。ただ、家裁はきょうだいの死亡に実母の関与を認めず、身体的虐待の事実も認められないとして、却下したという。県は代理人の弁護士とも検討を重ね、児童福祉審議会の専門部会にも諮るなどしたが、「虐待の客観的な事実を立証できない状況で、母親は親子分離に極めて強い反応を示している」として、抗告はしなかった。

 議員からは「できることは全てやってほしい。上級審への抗告をルール化してほしい」との指摘もあった。松谷順子子どもみらい部長は「子どもを救いたいという気持ちで尽くした結果だと信じているが、子どもの命が失われてしまったのは事実。県として重く受け止め、しっかり検証したい」と述べた。

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