「オミクロン株はインフルエンザより致死率高い」 専門家が報告

 新型コロナウイルスの感染状況や対策について分析評価する厚生労働省のアドバイザリーボードが2日に開かれ、会合に参加している専門家が、オミクロン株と季節性インフルエンザの致死率について比較した報告書を提出した。未だ流行中であること、収集されているデータの母数が違うことなどから正確な評価は難しいとしながらも、暫定的な評価として、オミクロン株の致死率は季節性インフルエンザよりも高いとした。

肺炎の発症率も高いと示すデータも

専門家が会合に提出した報告書より

 報告書を提出したのは、アドバイザリーボードに参加している尾身茂氏をはじめとした専門家14人。報告書では新型コロナウイルスと季節性インフルエンザそれぞれの感染症法での扱い自体が違うことから、把握できる症例数、期間などが違い比較が困難であるとしながらも、現在収集できるデータから評価を試みた。

 季節性インフルエンザについては、致死率算出における分子、分母それぞれを比較できる組み合わせで3種類試算しており、それぞれ0.006%から0.018%、0.010%から0.052%、0.09%と推計した。

 オミクロン株については、全国での2022年1月1日からの累積死亡者数と累積陽性者に対する死亡者の比率で致死率を試算。厚労省公表データから2月21日現在、約0.13%程度だとした。季節性インフルエンザの致死率を上回っており、さらに上昇傾向だと評価している。

 報告書では新型コロナウイルス感染症全体の致死率についても評価しており、流行当初は5%を超えていたが、2021年後半以降は1%を切るようになったとした。要因として、オミクロン株自体の致死率が、それまでの流行株より低いことが影響を与えていることを指摘しながらも、ワクチン接種の効果によるものだと評価。「予防接種が充分に行き渡るまでに流行の抑制策を取ること」の重要性を指摘した。

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