ヴィジュアル・アートに革命をもたらしたブライアン・イーノによる音と光の展覧会『BRIAN ENO AMBIENT KYOTO』が6月3日(金)より京都中央信用金庫 旧厚生センターにて開催

ヴィジュアル・アートに革命をもたらした英国出身のアーティスト、ブライアン・イーノが、コロナ禍において初となる大規模な展覧会『BRIAN ENO AMBIENT KYOTO』を開催する。 会場は、築90年の歴史ある建築物「京都中央信用金庫 旧厚生センター」を建物丸ごとイーノのアートで彩る。 本展では、ブライアン・イーノによる音と光のインスタレーションを中心に展開。音と光がシンクロしながら途絶えることなく変化し続け、その空間のその時に観客の誰もが違う体験をすることができる、音と光による参加型の空間芸術だ。 芸術家としての活動のみならず、アンビエント・ミュージックの創始者であり、環境問題にも早くから取り組んできたイーノが、世界的文化都市の地でどのようなメッセージを発するのか。ぜひご注目いただきたい。

展覧会のみどころ

① ヴィジュアル・アートに革命をもたらしたイーノの空間芸術

「川のほとりに座っているような、絶え間ない変化と同時に不変の体験をしたかったのです」by ブライアン・イーノ イーノは音楽制作において、反復でない、途絶えることなく続き、そして常に変化する音楽を作ることに尽力し、その音楽を「ジェネレーティヴ・ミュージック」と提唱し作品を発表してきました。その手法をヴィジュアルの分野でも用い、音と光の双方が途絶えることなく常に変化し、そしてシンクロしあう、「ジェネレーティヴ・アート」という空間芸術をつくりあげ、ヴィジュアル・アート界に革命をもたらしました。

② その空間のその時にしか体験できない、参加型展覧会

興味深く聞くことも、ただ聞き流すことも、無視することもできるというリスナー主体の、あらゆる聞き方を受容する「アンビエント・ミュージック」。 その創始者であるイーノは、展覧会においても、観客のあらゆる接し方を受容する空間を作り上げました。絶え間なく変化し続ける音と光がシンクロする空間において、観客は、いつきたのか、部屋のどこにいたかによって他の誰とも違う体験をすることができます。 この観客が主体となる本展は、その空間のその時にしか体験できない参加型の展覧会です。

③ コロナ禍に行なわれる初の大規模な展覧会

本展は、コロナ禍において、イーノによるはじめての大規模なインスタレーションとなります。 芸術家としての活動のみならず、環境問題など社会活動にも早くから取り組んできたイーノが、世界的文化都市、京都で、どのようなメッセージを発するのか、日本のみならず世界が注目する中、2022年6月に開幕を迎えます。会場は、築90年の歴史ある建築物「京都中央信用金庫 旧厚生センター」を、建物丸ごとイーノのアートで彩ります。

展示作品より

代表作『77 Million Paintings』、『The Ship』などの展示を行ないます。追加作品は随時ご案内いたします。 ※過去の展覧会の写真を使用しています。

① 『77 Million Paintings』(『77 ミリオン・ペインティングス』)

途絶えることなく変化する音と光がシンクロして生み出される空間芸術作品。「7700万」というのはシステムが生み出すことのできるヴィジュアルの組み合わせを意味しています。 2006年ラフォーレミュージアム原宿にて世界で初めて出展、その間アップデイトを繰り返しながら世界各地を巡回すること47回、世界中のアート・ファンを魅了し、ヴィジュアル・アート界を代表する作品となりました。 2022年、16年ぶりに帰還します。

② 『The Ship』(『ザ・シップ』)

代表的なオーディオ・インスタレーション作品。多数の個性的なスピーカーから個別の音が鳴ることで、場所によって違う音が聴こえ、また部屋の中を移動すると個別のスピーカーから出る音を自発的にミックスすることもできます。 そして、スピーカーが視覚的特徴となるよう、照明などで空間を演出しています。

BRIAN ENO について

「アートは人々に何かをもたらすために存在しているのではないか」
このイーノの問いかけは、彼の芸術を、革新的であると同時に人々に広く開かれています。
ヴィジュアル・アートのパイオニアとしてのみならず、アンビエントの創始者であり、世界で最も多く聞かれたサウンドのひとつWindows95の起動音の制作したように、彼の活動は、われわれの身近なカルチャー / 生活にまで及びます。
さらに、世界的大プロデューサーであり、環境問題をはじめとする社会活動にいち早く取り組んできたアクティヴィストでもあり、社会に大きな影響を与え続けています。(Photo by Cecily Eno)

① ヴィジュアル・アートのパイオニア

「私が夢見ていたのは、反復ではない、常に変化する音楽を作ることでした」by ブライアン・イーノ アンビエント・ミュージックは、途絶えることなく変化し、雨や風のようにその環境の一部となる音楽である以上、イーノの芸術が空間を創出するインスタレーション・アートに向かったのは必然のことでした。 音と光が、反復ではなく、途絶えることなく変化する「ジェネレーティヴ・アート」(自動生成される音と光のアート)を実践したインスタレーションの代表作『77 Million Paintings』は、その名の通り、7700万のペインティングが自動生成される「ジェネレーティヴ・アート」です。

② アンビエント・ミュージックの創始者

「アンビエント・ミュージック」とは、発想の転換であり、20世紀の音楽文化におけるもっとも重要な革命のひとつ。 1978年に発売したアルバム『アンビエント 1: ミュージック・フォー・エアポーツ』は、「アンビエント・ミュージック」という言葉をもって作られた最初のアルバムで、今なおアンビエント・ミュージック界の金字塔です。 通常音楽は、聞き手にその音楽をより集中して聞いてもらうことを望みますが、「アンビエント・ミュージック」はそのまったくの逆の価値を音楽に見出し、聞き手に聞くことを強制しないからこそ素晴らしいとしています。 聞き手に向かってくるのではなく、人を包み込むように空間的に広がり、雨や風の音のように、環境の音それ自体が音楽となるように作られています。

③ アクティヴィスト:環境問題をはじめとする社会活動

気候変動問題の解決を目的とした慈善団体「EarthPercent」を設立。本イベントも収益の一部を寄付。 よりよき社会を目指して早くから社会的活動を行ってきたイーノは、「EarthPercent」という音楽産業に気候変動へのコミットを促し、収益の一部を寄付するよう音楽産業の関係者たちに働きかける慈善団体を立ち上げました。本展『AMBIENT KYOTO』も収益の一部を寄付します。

④ 歴史的大プロデューサー

デヴィッド・ボウイ、U2、コールドプレイなど、手掛けた作品が世界的大ヒット、そしていずれもが音楽史に名を残す名盤になっています。イーノは常に大衆文化との接点を大切にしつつ、そこに自分の芸術性を融合させています。

【上から順に】

イーノとコラボした

デヴィッド・ボウイ

『ロウ』『ヒーローズ』

は、彼の代表作にしてロック史に燦然と輝く名盤。

U2

の代表作

『ヨシュア・トゥリー』

は全米と全英で1位、グラミー賞受賞、U2のオリジナル・アルバムで最大の売り上げ枚数を誇る。

コールドプレイ

の代表作

『美しき生命』

は全米と全英で1位、グラミー賞を受賞。2021年スマッシュ・ヒットとなった

デヴィッド・バーン(トーキング・ヘッズ)

の映画

『アメリカン・ユートピア』

、トーキング・ヘッズの全盛期のプロデューサーはイーノであり、この映画でもそれらの作品から多く演奏されています。

⑤ トリビア:Windows95の起動音の制作、小惑星「イーノ」

Microsoftからの依頼内容は「人を鼓舞し、世界中の人に愛され、明るく斬新で、感情を揺さぶられ、情熱をかきたてられるような曲」というもので、世界で最も知られたサウンドのひとつとして6秒の音楽サウンドを提供しました。 イーノは1983年にアンビエント・アルバムの名作『アポロ』を発売していますが、2019年には、新しく見つかった「81948(2000 OM69)」と呼ばれていた小惑星にイーノの名が冠されました。

© 有限会社ルーフトップ