「ワインレッドの心/安全地帯」"レッドライン"を越えて勝負を賭け、山下達郎の名言も越えた名曲

本来の安全地帯の音楽性が出ている「We’re alive」

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'70~'90のJ-popやフォーク、ニューミュージックから歌謡曲まで「日本の曲」を中心に毎夜、30曲前後をフルコーラスでお届けするSTVラジオ『MUSIC★J』(RCCラジオ生ネット)。ポプコン出身のシンガーソングライターで、"選曲家"の松崎真人が含蓄トークで番組を進めます。1枚のシングルのA面・B面(CDならC/W)の両方を聴きながら、その選曲に秘められたエピソードを紐解く「ところでB面なんですが」。この日は、安全地帯の大ヒット出世作です。(文中敬称略)

松崎:B面の曲も実は北海道では少なくとも結構、オンエアされていましたので、聴けば(北海道の)みなさんも判ると思います。では、久々にたっぷり聴きましょう、安全地帯のA面、B面。

M13「ワインレッドの心/安全地帯」

松崎:何度聴いても、結果売れたから言うわけではなく、名曲ですね。一部の隙もないプロダクションです。星勝が自分のアレンジャー人生、およびバンドマン人生を掛けて、このバンド(安全地帯)の素晴らしい素材をカタチにしたいという思いが凄く伝わってくると思います。

松崎:玉置浩二は最近、とても露出が多くて喜ばしい限りなんですけど、こうやってオリジナルの「ワインレッドの心」の時の声をたまに聴くのもいいですね、なんかフレッシュで。これから掛けるB面も、確かCMで掛かって聴いていたような気がするんだよなぁ。こちらは松尾由起夫が作詞で、他にはPSY・Sの「エンジェルナイト」とか書いた方です。当時はとても売れっ子の作詞家でした、B面とは言え。

M14「We’re alive/安全地帯」

松崎:この「We’re alive」は、ブリジストン・アイスコンパウンドⅡのイメージソングということで、ちょっと前までみんながスパイクタイヤを履いて走っていたところ、アイスコンパウンドということはスタッドレスですよね。ということで、北海道ではけっこう流れていたという僕の記憶は正しいんだと思います。

松崎:(「We’re alive」を)聴くとやはり、そもそもの安全地帯は、オーリアンズ(編註:Orleans =1972年にaアメリカ・ウッドストックで結成されたポップ・ロック・バンド)などのバンドのような、村田(和人)も好きだった疾走感のあるバンドサウンドというところが、本来の(安全地帯の)持ち味のひとつだったと思います。

松崎:「ワインレッドの心」は"賭け"ですよね。歌詞の世界を(井上)陽水に委ねて、玉置も今まで自分がやったことないようなメロディラインに挑戦して。ざっくり言うと、歌謡曲に接近することで"レッド・ライン"を越えるくらいの気持ちでやった曲、勝負をかけた曲だと思うんです。

松崎:B面の「We’re alive」では"素顔"を晒していると言うか、バンドの素顔を晒して、みんながいちばん得意なプレイで気持ちよく歌っている感じが良く出ているなと思います。結果、「ワインレッドの心」があれだけ国民的な大ヒットをして、安全地帯は"方向性"もちゃんと維持しつつ、今日に至るわけです。その”川”を渡ることが大変なんです。そこを中途半端に渡り切れなかった人の多いこと。あるいは騙されて渡ったら溺れた人の多いことね。

松崎:(山下)達郎の名言で「『売れたら好きなことが出来るから、それまで何とか周りのスタッフの言うことを聞いてやれ』と言われて納得するような人はプロにならない方がいい」と言うのがございますが、玉置(浩二)の才能と安全地帯の演奏力は、それを上回っていたということですね。

<編集後記>
「We’re alive/安全地帯」 この曲のオンエア中にTwitter井戸端会議上で「スパイクタイヤ」が通じない世代が多いことにびっくり。僕の学生時代にはまだ冬道といえばスパイクタイヤで、おかげで今ごろの季節からは車粉が舞い、空は煤けたような色になり、皆の鼻の穴は真っ黒になっていたのだった。時代は変わる。なんだかんだといいながら、良い方へ。(松崎 真人)

3月1日(火)のプレイリスト M23~M25で"子どものうた"ミニ特集

M01「SAKURA/いきものがかり」
M02「fragile/Every Little Thing」
M03「ささやかなこの人生/風」
M04「風の世界/SUGAR BABE」
M05「ジス・バッド・ガール/ザ・ゴールデン・カップス」
M06「ラブ・オブ・ピース・アンド・ホープ/PYG」
M07「あなた/小坂明子」
M08「あせるぜ/阿部敏郎」
M09「ひとりぼっちの部屋/高木麻早」

M10「シンプル・ラブ/大橋純子」
M11「街角トワイライト/シャネルズ」
M12「風の彼方に/葛城ユキ」
M13「ワインレッドの心/安全地帯」
M14「We’re alive/安全地帯」
M15「忘れな草をあなたに/菅原洋一」
M16「惚れちゃったんだョ/都はるみ」
M17「島人ぬ宝/Begin」
M18「寒い夜明け/郷ひろみ」
M19「春なのに/中島みゆき」

M20「黄金の月/スガシカオ」
M21「Distancia〜この胸の約束〜/杏子」
M22「次の夢/中西圭三」
M23「ひょっこりひょうたん島/前川陽子」
M24「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌/坂本九、ロイヤル・ナイツ」
M25「はてなのはね/影山ヒロノブ」
M26「北の旅人/石原裕次郎」
M27「MY BLUE PAGE〜大通りを渡って〜/Birthday Suit」
M28「BELOVED/GLAY」

STVラジオ『MUSIC☆J』(毎週 火~金 19:00~22:00) ★RCCラジオ生ネット

MUSIC★J

放送局:STVラジオ 他1局ネット

放送日時:毎週火曜~金曜 19時00分~22時00分
※放送局によって日時が異なる場合があります。

出演者:松崎真人(まつざき・まこと):シンガーソングライター、選曲家。北海道札幌市出身。1984年ヤマハポピュラーソングコンテストで優秀賞を受賞し、85年「たわいないトワイライト」でデビュー。92年、佐木伸誘とユニット「Birthday Suit」結成。現在はソロでラジオパーソナリティやライブを中心に活動中。

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★リクエストメール:mj@stv.jp
★twitterハッシュタグ:#musicj
70年代~90年代の日本のポップス・日本語のポップスを中心に"厳選かけ流し"でお届け。J-popの源流を築いた往年の名曲を毎日30曲前後も紹介するパワー・プログラム。いまの10代~20代にも聴いて欲しい、日本の音楽がわかる番組!
パーソナリティは、北海道出身のシンガーソングライター・松崎真人。音楽への深い造詣と知識に裏打ちされた含蓄あるトーク、選曲の幅広さでリスナーの支持を全国に広げている。
☆広島・RCCラジオでも同時生放送(~21:50)

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