市営温浴施設の配水管損傷 秦野市が工事業者3者に賠償求め提訴へ 高橋市長「税金で建てた施設、無駄許されない」

名水はだの富士見の湯=秦野市曽屋

 秦野市は3日、市営温浴施設「名水はだの富士見の湯」(同市曽屋)の高温配水管が損傷したのは工事業者の施工不良が原因だとして、工事業者3者に対し損害賠償を求めて東京地裁に提訴する方針を示した。高橋昌和市長は同日の市議会本会議後「市民の税金で建てた施設で無駄は許されない。司法の判断を仰ぎ結論を出してもらう」と説明した。

 損害賠償を求めるのは、工事施工者の神奈川山菱設備(平塚市)と相原管工(秦野市)、工事管理者のタツミ建設設計事務所(三浦市)の3者。開会中の秦野市議会第1回定例月会議に施設改修費や代替熱源費など計約8400万円を請求する議案を提出しており、可決後に提訴する方針という。

 市によると、2017年10月開業の富士見の湯は、隣接するごみ焼却施設の余熱で温められた高温水(約130度)を高温配水管(長さ約140メートル)で運び込み、水を温めていた。しかし、18年7月に敷地内のマンホール周辺で水蒸気が確認され、20年5月には高温配水管の溶接箇所に隙間ができて水漏れが確認されるなど不具合が相次いだため、市は熱源をガス給湯に切り替えて営業を継続。21年6~12月に修復工事を行い本来の余熱利用に戻した。

 市が原因究明を依頼した専門家らによる調査検討会は、昨年2月の最終報告で、高温配水管の溶接箇所に隙間が生じたのは業者の施工不良が原因と指摘した。

 市は、修復工事が完了した昨年12月から3者に対して損害賠償を求めたが期限までに応じず、今年2月上旬までに2者から賠償に応じる意思はないと通知があったという。

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