【追う!マイ・カナガワ】3.11福島の今(上)廃炉作業や復興…知りたいことは? 地方紙連携アンケート

廃炉に向けた作業が進む東京電力福島第一原発の(左から)1号機、2号機、3号機=福島民報社、2月25日撮影

 2011年の東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の発生から11年を迎えるのを前に、神奈川新聞「追う! マイ・カナガワ」など読者とつながる報道に取り組む全国の地方紙は、被災地「福島・東北」について知りたいことや原発政策の在り方などを聞くアンケートを実施した。

 福島について関心がある項目は「原発事故の廃炉作業」が43.0%と最多を占めた一方で、震災への関心は昨年の同様の調査に比べ低下傾向にあった。原発政策についても積極的な脱原発を求める意見の割合が減った。

◆避難区域にも高い関心

 アンケートは協働企画として昨年から取り組む「#311jp」の一環。17紙が無料通信アプリ「LINE」(ライン)や紙面で呼び掛け、2月2~11日に実施。回答数は45都道府県から2636人だった。

 その結果、福島県について関心がある項目は、最多だった廃炉作業に続き「地震、津波からの生活の復興状況」(23.3%)、「避難区域の現状」(12.4%)─などだった。

 21年も協働企画として原発・エネルギー問題(回答数6248人)、防災(同1699人)についてアンケートした。今回も一部、同じ質問を設定し、21年分を参考値として比較した。

◆原発活用、容認が増加

 東日本大震災への関心度を6段階で聞く質問では、最も関心度が高いとしたのは21年が52.9%だったのに対し、今回は30.5%にとどまった。

 今後の原発政策の在り方については「積極的に廃炉とし、脱原発を急ぐべきだ」が35.4%と最多だったが、21年比で7.7ポイント低下した。逆に原発活用を容認する回答項目の合計は21年比で9.3ポイント増えた。

 一方で、ハザードマップ(災害予測地図)を見たことがあるかとの項目については「内容を理解している」37.3%、「見たことがある」52.6%。21年比でほぼ同じ割合となった。

 「#311jp」は、読者とつながる「オンデマンド調査報道(JOD)」パートナーシップの加盟社で実施。アンケートは多様な意見を聞き取るのが目的で、無作為抽出で民意を把握する世論調査とは異なる。「福島・東北」について「知りたい」ことを尋ね、福島民報、岩手日報、河北新報の3紙が「伝えたい」ことも交えた記事を配信し、本紙でも随時掲載する。今回の記事は西日本新聞がまとめた。

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