「開幕に合わせろと言わない」 DeNA三浦監督が故障の佐野、今永を“急がせない”ワケ

DeNA・佐野恵太(左)、今永昇太【写真:荒川祐史】

佐野は右脇腹肉離れ、今永は左前腕炎症でリハビリ中

昨季最下位からの巻き返しを誓うDeNAだが、主将の佐野恵太外野手とエースの今永昇太投手が、いずれも沖縄・宜野湾キャンプ中の2月中旬に故障で1軍を離れ、現在リハビリ中だ。それでも、就任2年目の三浦大輔監督があえて「開幕に間に合わせてくれ、とは言わない」と強調するのはなぜか。

4日に横浜スタジアムで行われた「出陣式&必勝祈願」で、三浦監督は佐野、今永と久しぶりに顔を合わせた。現在ティー打撃で調整している佐野には「急に(ペースを)上げ過ぎるなよ」と釘を刺した。「開幕に間に合うに越したことはないが、それよりも(1軍に)戻る時に(シーズンの)最後までいられるようにしてくれ」と諭したと言う。

一方、2日前から約30メートルのキャッチボールを始めたばかりの今永については、「開幕には間に合わない」と明言。「復帰時期は、状態を見ながら決めていく。佐野同様、戻ってくる時には最後まで突っ走れるようにしてほしい」と話した。

佐野は右脇腹の肉離れ、今永は左前腕に炎症を起こした。今月25日の開幕日に合わせるより、万全の状態でシーズンを通して試合数を稼いでくれた方がいい──と三浦監督は冷静に計算している。また、佐野が抜けた形の外野は、日本ハムから移籍した大田、未完の大器・細川らが猛アピール中。今永不在の先発ローテも、三浦監督が「開幕投手候補は5~6人いる」と話すように、とりあえず頭数は足りている。チームが4日現在、練習試合・オープン戦を通じて6勝1敗1分と好調なことも、指揮官が余裕を見せることができる要因かもしれない。

科学的なアプローチを重視する球団

球団もAT(アスレチックトレーナー)、S&T(ストレングス&コンディショニング)担当を置き、故障者には科学的なアプローチを重視している。

今永は「僕がやれると思うのと、生理学に基づいたATの見解とは違う。指示を仰いでやっていくだけ」と話し、「正直言うと、痛みは(炎症と診断された)3日後くらいには引いて、自分では投げられるのにな……と思いながら投げない時期もあった。MRI(磁気共鳴画像)を撮ってみると、内出血みたいなものが映っていた。これだけノースローだったから、これだけの時間をかけてリハビリをしなければならないと決められたプランがあるので、それに従うしかない」と説明した。

佐野も「僕自身はそのつもり(開幕に間に合わせる)でやっていますが、トレーナーと相談しながら進めているので、僕だけで決められることではない」と言った。

チームは厚みを増した戦力と、科学的な根拠を背景に、焦ることなく、シーズントータルで優勝争いに絡む道を探っていく。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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