『東京リベンジャーズ』の中毒性に似た魔性の魅力。アニメも実写も成功した鍵は…

『東京卍リベンジャーズ』を原作とした『東京リベンジャーズ』。原作の漫画のみならず、アニメや実写映画まで成功した本作、その魅力とは?

昨年、2021年はまさに『東京卍リベンジャーズ』一色に彩られた一年でした。

その勢いはまさに飛ぶ鳥を落とす勢いと言っても過言ではなく、漫画、アニメ、実写映画…そのすべてが社会現象に近い大ヒットを記録しました。なぜ、そこまで人々は『東京卍リベンジャーズ』に魅了されるのでしょうか?

今回は、その魔性の魅力に迫ってみたいと思います。

※記事の性質上、ストーリーの内容を含みます。

『東京卍リベンジャーズ』(講談社)

via

『新宿スワン』作家の新境地『東京卍リベンジャーズ』

『東京卍リベンジャーズ』は2017年より「週刊少年マガジン」にて連載中の和久井健先生による漫画を原作としています。

物語の主人公は、冴えないフリーターの青年・花垣武道。ある日、彼が自宅で不摂生な生活を送っていると、テレビの画面からニュースが流れてきます。

そのニュースとは、人生で唯一の恋人だった橘日向が東京卍會というグループの抗争に巻き込まれて死亡したというものでした。

『東京卍リベンジャーズ』2巻(講談社)

via

頭の片隅で事件のことを忘れられないでいた武道は、翌日、いつものようにバイトへ向かい、いつものように年下の上司にいびられ、いつものように電車に乗ろうとしていた矢先に、何者かによって背中を押され、ホームからダイブ!

電車に轢かれてしまうかと思われた瞬間、12年前へとタイムリープ。不良として生きる人生の全盛期だった時代へと遡っているのでした。かつてスカウトマンとして活動していた経歴を活かし漫画家へと転身した和久井健先生は、『新宿スワン』や『デザートイーグル』といった作品で“裏社会”の骨太なドラマを描き出すことに定評のある漫画家でした。

そんな和久井先生が2017年より新境地を開拓すべく打ち出した作品が『東京卍リベンジャーズ』です。

『新宿スワン』38巻(講談社)

via

それまでのリアリティを追求した写実的な世界観や独特なタッチの作画を大きく変更し、キャッチ―でエンターテイメント性に優れたオリジナリティあふれる「ヤンキー漫画」を誕生させ、増刷に継ぐ増刷を重ね、2022年1月現在で累計5000万部を突破する大ヒット作品へと昇華させました。和久井先生自身はコミックス4巻までは王道の「ヤンキー漫画」の方向性で貫こうと考えていたようですが、より男女問わず万人受けする作品を目指すために作風を変えたとも言われており、コミックス5巻の時点からカバーイラストがカラフルでポップなものに変更されたという背景もあります。

それがきっかけなのか女性たちからの支持をより集めるようになり、大きな飛躍を遂げるきっかけになったと言えるでしょう。

中毒性のある物語とキャラクターの格好良さ。

TVアニメ『東京リベンジャーズ』キャラクターソングEP01

via

『東京卍リベンジャーズ』の魅力と言えば、何と言っても、次のページを次々とめくりたくなる物語の連続性にあります。

一話一話の終わり方もいわゆるクリフハンガーという連鎖的なもので幕を閉じており、続きが気になって仕方ないという中毒性に似た魔性の魅力があるのです。それはテレビアニメになっても受け継がれているものであり、喧嘩に次ぐ喧嘩で勢力を拡大していく『ビー・バップ・ハイスクール』や『ろくでなしBLUES』といった往年の人気ヤンキー漫画に見られたようなストーリーに重きを置くわけではなく、泣き虫で喧嘩もあまり強くない少年が過去と現在を行き来しながら、世界を改変していく。

いわば「SF漫画」的な様相を呈するストーリーがこれまでにない新鮮味を醸し出しており、先行きが気になってしかたない、どんな展開になるんだと視聴者を虜にする中毒性があったのです。

TVアニメ『東京リベンジャーズ』キャラクターソングEP02

via

その中に東京卍會を率いる佐野万次郎(マイキー)や龍宮寺堅(ドラケン)といったキャラクターのカッコ良さが相まって、幅広いファン層を獲得した背景があると言えるでしょう。

また、筆者が個人的に本作の魅力としてあげたいのは、主人公タケミチの等身大のキャラクター像です。誰もが人生に悔いがあると思います。失敗した経験…あの時ああしていたら…。

いつかリベンジしたいと考える読者や視聴者の想いを一身に背負い、涙を流しながら「絶対に譲れないものがある」と挑み続ける姿に共感し、自己投影してしまうところがあるのです。

マイキーやドラケンなどのキャラクターが人気を集めていますが、やはり主人公の花垣武道がいるからこそ成り立つ人気の高さなのではないでしょうか。

設定変更も大成功。実写版『東京リベンジャーズ』

映画『東京リベンジャーズ』オリジナル・サウンドトラック

via

『東京卍リベンジャーズ』は2021年にアニメ化だけでなく、『東京リベンジャーズ』として実写映画化もされ話題を集めました。

主人公のタケミチ役に北村匠海、マイキー役に吉沢亮、ドラケン役に山田裕貴など今を時めく若手俳優たちをキャスティングし、大ヒットを記録したのも記憶に新しいですね。

そんな実写版『東京リベンジャーズ』は、原作やアニメ版とは少しストーリーが違うことをご存じでしょうか?まず主人公を初めとしたキャラクターたちが中学生から高校生へと設定が変更されており、舞台となる年代も原作の「2017年→2005年」から「2020年→2010年」に変わっています。

さらにアニメで10話以上をかけて描いたストーリーを約2時間にまとめ上げているため、要所での展開が少しずつ異なるものになっており、あの重要キャラクターが登場しないなんてこともあります。

映画『東京リベンジャーズ』本予告 2021年7月9日(金)公開

via

すなわち、映画『東京リベンジャーズ』は『東京リベンジャーズ』であって『東京卍リベンジャーズ』ではなく、もう一つの世界線の『東京リベンジャーズ』といった印象を大いに受けるのです。

だからこそ原作とは切り離して鑑賞すべき作品であり、原作、アニメを未見のファンでも単体として楽しめるのだと思います。もちろんおなじみのキャラクターたちを実写として映し出した再現性には高いものがあり、特にドラケン役の山田裕貴は原作ファンからも高い評価を得ました。

筆者の個人的意見としてはアッくん役の磯村勇斗やキヨマサ役の鈴木伸之が素晴らしい演技を魅せてくれていると思いました。

まだまだ活躍していない重要キャラクターも多いことから、今後の続編にも期待させる仕上がりとなっています。

アニメシリーズ2期の製作もすでに決定しており、ますます盛り上がっていくであろう『東京リベンジャーズ』。

かつてのヤンキー漫画ブームとは異なり女子受けする作品でもあるため、その熱狂の渦は今後も広がっていくことでしょう。圧巻のタイトル回収があった原作からも目が離せません!

(執筆:zash)

【漫画】第1話『東京リベンジャーズ』 ep1

via

■『東京卍リベンジャーズ』マイキーとドラケン、深い絆の根底にあるものは【東リベの魅力解剖】

https://numan.tokyo/anime/sQy4x

■ 既視感の正体は…『東京卍リベンジャーズ』24巻表紙、現代マイキーに大反響。17巻と反転してる?

https://numan.tokyo/anime/EZIXJ

■ 『東京卍リベンジャーズ』黒幕は他にいる?いま疑われる2人の人物とは…

https://numan.tokyo/anime/pQfor

映画『東京リベンジャーズ』概要

【STORY】

「これは、オレの人生のリベンジだ!」

ヘタレ男子のタケミチが、人生唯一の彼女・ヒナタを救うため、熱い仲間と共に現在(いま)を変える!!

人生唯一の彼女だったヒナタが、事故に巻き込まれ命を落とした―

不良だった高校までの絶頂期から一変、今はどん底生活を送るタケミチが

高校時代へタイムリープし警察も手に負えない最凶の組織“東京卍會”へ潜入。

出会った熱い仲間たちと共に、彼らの暴走を止められるのか!?

ヒナタを救い逃げ続けた人生を変えるタケミチのリベンジが今、始まる!

◇原作:和久井健『東京卍リベンジャーズ』(講談社『週刊少年マガジン』連載中)

◇監督:英勉

◇脚本:髙橋泉

◇出演:北村匠海 山田裕貴 杉野遥亮 今田美桜 鈴木伸之 眞栄田郷敦 清水尋也 磯村勇斗/間宮祥太朗/吉沢亮

◇主題歌:SUPER BEAVER「名前を呼ぶよ」(ソニー・ミュージックレーベルズ)

◇配給:ワーナー・ブラザース映画

◇公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/tokyo-revengersjp/

◇公式Twitter:@revengers_movie #東京リベンジャーズ

◇公式Instagram:@revengers_movie

©和久井健/講談社 ©2020 映画「東京リベンジャーズ」製作委員会

© 株式会社マレ