ポニーテール禁止なぜ? 質問に担任は答えた 「男子がうなじに興奮するから」 16歳女子生徒は思う 「校則つくった人の感覚おかしい」

校則を巡っては、開会中の鹿児島県議会3月定例会代表質問でも質疑が交わされた=2月

 校則でポニーテールが禁止されているのはなぜだろう-。鹿児島市の高校に通う女子生徒(16)は中学時代、担任の女性教員に尋ねた。「男子がうなじに興奮するから」との答え。「男子にも女子にも失礼。本当にそうなら最初にこの校則を定めた人の感覚がおかしい」と違和感を口にする。

 校則では男子だけ長髪も禁止されていた。「男女平等であるべきだし、心と体の性が一致しないトランスジェンダーの人が暮らしにくい」。女子生徒は生徒会で校則見直しを提案した。LGBTQなど性的少数者らの集まりで当事者の思いを聞き、教員も交えて話し合いを重ねたが、実現しなかった。「先生に『ここは鹿児島だから』と言い訳されショックだった。校則が正しいとは限らず、生徒自らが考えるべきなのに」。今も納得できないでいる。

■合理性に疑問

 県議会での校則を巡る質疑が全国放送の報道番組で取り上げられたことがある。昨年の3月定例会一般質問。県民連合の柳誠子議員が「『下着の色は白』という校則には合理性がなく、必要性を説明できないのでは」と当局に迫った。

 東條広光教育長は「周囲を不快にさせない、社会的マナーを身に付けさせる観点から、肌着の色や模様が外に透けて見えないようにするため定めている。外に透けない色であれば白以外でも可とした事例もある」と答弁。柳議員は「下着の色を指定したり、色を聞いたりすること自体、社会一般ではセクハラでは」と食い下がったが、答弁は覆らなかった。

 市内の女子中学生2人から「髪形や肌着の校則はおかしい」との疑問が寄せられ、質問した柳議員。校則は集団生活を円滑にする道具として使われてきた経緯がある一方、本来は子どもの尊厳を守るためにあるべきだと強調する。「合理的な説明も必要。教育長や学校の管理職は男性が圧倒的に多く、女性の意見が反映されてこなかった面もあるのでは」とみる。

■意識高まり

 最近は全国的に「ブラック校則」が問題視されるようになり、子ども主体で校則の見直しに取り組む動きも出ている。

 鹿屋市の細山田中学校では昨秋から、白に限っていた肌着の色がグレーや黒、紺でもよくなった。教員側の発案を生徒同士で議論してもらうことに。生徒会役員の男女約10人が、制服の下にさまざまな色や柄の肌着を身に着けて全校生徒の前を練り歩き、どう見えるのか、何色がいいのかなど意見を取りまとめた。

 生徒会は「みんなが改めて校則を知る機会になり、意識が高まった」。縮毛矯正についても、一律禁止から学校に事前相談するよう保護者に呼び掛けるやり方に見直した。悩みを抱える生徒がいるからだ。

 生徒指導主任の休坂和人教諭(43)は「生徒が安全に楽しく過ごすためにルールは必要。時代のニーズや子どもたちの考えに寄り添いながらわれわれも考えていかなければ」と語った。

 (連載「学び平等ですか? かごしま教育現場の今」より)

© 株式会社南日本新聞社