ダルも田中将もスリークォーター? 「腕の角度」ではなく「体の傾き」で変わる投球フォーム

パドレス・ダルビッシュ有(左)、楽天・田中将大【写真:AP、荒川祐史】

基本形はオーバー、スリークォーター、サイド、アンダーの4種類

ピッチャーの投げ方にはどんなものがあるか知りたい。そんな野球少年少女のために、First-Pitch編集部が様々な指導者さんの取材を通じて知ることができた投げ方の違いと種類について紹介します。数あるピッチャーの投げ方には、大きく分けて「オーバースロー」「スリークォータースロー」「サイドスロー」「アンダースロー」の4種類があります。今回はそれぞれの特徴を解説していきます。

○オーバースロー
直立した状態よりも、グラブ側に体が傾いて投げる投法を指します。体の傾きによって、リリースポイントが自分の頭より高い位置に来るため、結果的に「ボールを投げ下ろす」ような形になります。このことから、オーバースロー(上手投げ)と呼ばれます。

【写真】ダルビッシュ有、田中将大らの肩の位置と傾きは? 実際の投球フォーム4種類

○スリークォータースロー
直立した状態とほぼ同じ体軸で投げる投法を指します。直訳すると「4分の3」という意味を持つこの投げ方は、リリースポイントがオーバースローとサイドスローの中間あたりになります。多くの日本人投手はこの投げ方に当てはまると言われていて、パドレスのダルビッシュ有投手や楽天の田中将大投手もこれにあたります。

○サイドスロー
直立した状態から、投げ手側に体が傾いて投げる投法を指します。打撃のように腰を横回転させ、腕はバットに近い軌道を通ります。リリースポイントが横に来ることからサイドスロー(横手投げ)と呼ばれます。

○アンダースロー
直立した状態から、腰を折って体を倒したような形で投げる投法を指します。ほぼ直角に体が倒れた状態で投球するため、強靭な下半身が必要とされます。地面に近い位置からリリースされることからアンダースロー(下手投げ)と呼ばれます。また、潜ったように投げる姿が潜水艦を彷彿とさせることから「サブマリン」の異名を持ちます。

どの投げ方も「グラブ側の肩から投げ手側の肘」までは、ほぼ一直線

それぞれの特徴から、投げ方の違いは「腕を振る角度」ではなく、「体の軸の傾き方」によって分類されることが分かります。よく「腕を横から振るからサイドスロー」「下から投げるからアンダースロー」と言われることがありますが、実際に変わっているのは腕の角度ではなく、体の傾きなのです。

そのため、どのような投げ方であってもグラブ側の肩から投げ手側の肘までは、ほぼ一直線のラインになっています。これを逸脱すると体の力を連動させることが難しくなり、故障の原因にもつながるので、特にサイドスローやアンダースローに挑戦する際には気を付けたいです。

さらに、サイドスローやアンダースローを試した時に、手首が横に寝てしまう選手がいます。これでは、リリースが不安定になったり、ボールが弱くなったりするので、肩から肘までのラインだけでなく手首の角度にも注意したいです。

ピッチャーの投げ方は千差万別です。今回紹介した投げ方以外にも、自分に合った投げ方が見つかるかもしれないので、ぜひ楽しみながら試行錯誤してみてください。(Full-Count編集部)

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