開幕戦はドゥカティを駆るバスティアニーニが制す。新生グレシーニで歓喜の初優勝/MotoGP第1戦カタールGP

 3月6日、MotoGP開幕戦カタールGPの決勝レースがカタールのロサイル・インターナショナル・サーキットで行われ、MotoGPクラスはエネア・バスティアニーニ(グレシーニ・レーシングMotoGP)が最高峰クラスで初優勝を飾った。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は10位でレースを終えている。

 シーズン唯一のナイトレースとして開催されるカタールGPは、現地時間18時にスタート。気温23度、路面温度29度という金曜日、土曜日とほぼ変わらないコンディションで始まった。

 2022年シーズンの口火を切るスタートで飛び出したのは、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)で、6番グリッドスタートのポル・エスパルガロ(レプソル・ホンダ・チーム)も好スタートを切って2番手に浮上、そして7番グリッドスタートのブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)が3番手につけた。ポールポジションスタートのホルヘ・マルティン(プラマック・レーシング)はスタートで遅れ、8番手に後退する。

 1周目にトップが交代してポル・エスパルガロが先頭に立ち、その背後をマルク・マルケスが追従する展開。2周目に入るころには、8番グリッドスタートのジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)が4番手に浮上した。

 ミルの後ろには5番手にエネア・バスティアニーニ(グレシーニ・レーシングMotoGP)、6番手にアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング)、7番手にマルティンが続く。11番手スタートのファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)は8番手を走行。一方、ドゥカティ・レノボ・チームのフランセスコ・バニャイアは10番手、ジャック・ミラーは12番手に後退し、苦しい展開となった。

 
 6周目、1コーナーのブレーキングでマルク・マルケスが止まり切れず、オーバーラン。このすきを逃さずビンダーがマルク・マルケスをオーバーテイクし、2番手に浮上する。トップを走るポル・エスパルガロは安定したタイムを刻み、トップを維持。ただ、2番手のビンダーもポル・エスパルガロに匹敵するラップタイムで周回しており、引き離すまでには至らない。

 7周目にはマルク・マルケスがバスティアニーニにかわされ4番手に後退し、バスティアニーニが3番手に浮上した。マルク・マルケスの後方にはミル、そしてアレイシ・エスパルガロがつける。ミルとアレイシ・エスパルガロは接近戦を繰り広げており、このためにマルク・マルケスとの差が開きつつあった。

 この周にミラーがピットに戻り、リタイア。さらに12周目、マルティンとバニャイアがともにクラッシュ。8番手を走っていたマルティンを1コーナーで交わそうとしたバニャイアがインサイドに入った瞬間にフロントタイヤが切れ込み、スリップダウン。そのすぐアウト側にいたマルティンを巻き込む形での転倒だった。ポールポジションスタートのマルティンにとっても、ドゥカティ・レノボ・チームにとっても厳しい開幕戦のレースとなった。

 一方、トップをキープするポル・エスパルガロは2番手のビンダーを引き離しつつあり、1秒のアドバンテージを築いていた。残り10周でバスティアニーニがビンダーを交わし、2番手に浮上する。その後、バスティアニーニはビンダーとの差を広げていった。

 3番手のビンダーの後方を走っていた4番手のマルク・マルケスには、残り6周を迎えるころにアレイシ・エスパルガロが迫る。ペースに勝るアレイシ・エスパルガロはマルク・マルケスをかわして4番手に浮上することに成功し、マルク・マルケスは5番手に後退した。

 同じころ、トップ争いにも変化が起きていた。ポル・エスパルガロにバスティアニーニが迫っていたのだ。バスティアニーニは1秒ほどあった差を詰めると、テール・トゥ・ノーズでポル・エスパルガロの背後につけ、残り5周のストレート区間の加速で、ポル・エスパルガロを一気にオーバーテイク。ポル・エスパルガロはその先のブレーキングに失敗してオーバーランを喫し、3番手に後退してしまった。

 バスティアニーニはトップをキープしたまま、フィニッシュラインに飛び込んだ。これがバスティアニーニにとって、MotoGPクラス初優勝だった。2位はビンダー。7番手から序盤に大きく順位を上げると、ポジションを下げることなく力強いレースを見せた。そして、ポル・エスパルガロは惜しくも3番手だったが、今季のポテンシャルを証明したレースだったと言えるだろう。

 4位はアレイシ・エスパルガロ、5位にはマルク・マルケスが続いた。今週末のキープレイヤーと見られていたスズキは、ミルが6位、リンスが7位クアルタラロは8番手から9番手付近でのレースとなり、最終的に9位。16番手スタートの中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は10位で開幕戦を終えた。

© 株式会社三栄