張本智和、「自分が今一番強いとは思わない」選考方式に意見も<卓球・LION CUP TOP32>

<2022 LION CUP TOP32 日時:3月5日~6日 場所:アリーナ立川立飛>

6日、第1回パリ五輪選考会となるLION CUP TOP32の2日目、男子シングルス決勝で張本智和(木下グループ)が及川瑞基(木下グループ)を破り、見事優勝に輝いた。

試合後、張本が報道陣の質問に答えた。

張本智和コメント

今の気持ちは

久しぶりに優勝できたということで、多少の安心はあります。

優勝した瞬間、コート上で涙もあったのは、苦しかった時期を思い出したのか

(シングルスで)東京五輪でメダルが取れず、世界卓球でも一回戦で負けてしまい、全日本でも負けて、自分があまり勢いがないときに、他の選手が勢いをつけていって、結構強気な発言をする選手もたくさんいる中で、ちょっと不安な気持ちもありました。

これで見返すとかじゃなくて、自分に対して情けないという気持ちは強かったので、他の選手にあまりチャンスを与えないためにも、自分が獲っていくことは大事だなと思いました。

国内ではずっと向かってこられる立場が続いていてメンタルも大変だと思うが

いつも実家で暮らしてるんですが、お父さんお母さんが毎日のように「自分が格下だと思ってしっかりやらないと、強くならないよ」と言ってくれて、自分の中では毎日言われてちょっとうるさいなと思うときもあったんですけど、正しいことですし、それができないからこういう状況になっていたんだなと。

今回の選考会の良かった点は、相手も代表権がかかってるので多少のプレッシャーがあって、自分も挑戦者の気持ちを持って戦えたので、これを継続してもっと挑戦していかなければと思いました。

若い世代で代表争いが激しくなっていることに関して

写真:張本智和(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部

自分が中学生で優勝したときも強気な発言とか、「自分の時代だ」とか言ってましたけど、過ちは誰にでもあるので(笑)

まあ、自分はそれを早く経験したことで、オリンピックも含めていろんなことを経験したので、卓球界において自分の知らないことはないかなと。そこを含めたうえで勝ち続けることができればやっと進化できると思いますし、自分が自分を認められるようなプレーをやりたいってうのはありますね。

五輪の選考基準が変わったことについて

優勝したからといって、この方式に賛成というわけではないですね。せめてリーグ戦であれば多少の納得はできますけど、単純にドローとか全日本の結果が含まれているとか、急に決まった点が多すぎるっていうので、優勝しても納得いかないところはあります。

国際大会もWTTも自分の中では、今までたくさん公平に出場していてもランキングは上がらない選手もいますし、その中でも上げてきた選手もいるので。まあ、決まったことはしょうがないので、戦い続ければと思います。

五輪出場が確実視される中で今大会で優勝した意味は

小学校の友達に「パリ五輪のチケット取ってね」とか言われて、「いや、俺まだ全然決まってないから」とか。そういうのも含めて、危機感は最近強くて。みんなが期待してくれているっていうのを今一度認識しましたし、このままではダメですね。

正直、東京五輪まで毎回推薦で、ちょっと安心してしまっている気持ちが多少プレーに出ている可能性もあるので、もう一度みんなとフェアにぶつかることができたっていうのは、良い面も悪い面もあって、今回はかなり良い面を受けれたかなと思っています。

海外選手の動向は普段から追っている?

SNSで流れているのを見るぐらいで。自分は今その舞台に立てない状況なので。少し遅れはあるかもしれないですけど、こうやって選考勝ち抜いて今まで得られなかったものも得られたと思うんで、そこをプラスにして海外選手との試合で勝てればいいなと思います。

国内での対戦と海外での対戦では練習内容が変わるのか

写真:張本智和(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部

基本的には変わんないですね。海外の選手の方が、自分のサービスレシーブも効くので。その結果が去年のWTT決勝行けたり、そこは自分は海外の方がいいかなっていうのはあるんですけど、それだけじゃダメなので、国内選考もしっかり勝ち上がれたらと思います。

二人三脚で頑張ってきたお父さんに対してはどう思っているか

五輪の銅メダルを見せたときに「本当に見せたいのはこれじゃない」と自分の中でも思いましたし、それで喜んで欲しいなっていう気持ちもありました。やっぱり100%恩返しっていうのがまだまだ出来てないので。代表戦のベンチでもなかなか勝たせてあげられなくて、僕と同じくらい苦しいことは一緒にいて思いますし、自分でプレーできないコーチはそういう苦しさもあると思うので。

最後ベンチで一緒に喜びたかったんですけど、自分が一番感謝しているのはお父さんですし、その次にお母さんもいつも支えてくれていますし。お父さんがいないとやっていけないぐらい、いろいろ面倒見てもらっているので、感謝しかないですね。

水谷さんがいなくなった後の日本のエースは自分だという気持ちはあるか

まあそれは記者の皆さんも思う人がいるかと思いますし、どんどん言っていいと思います。最初の大会で優勝した人が一番強い、というただシンプルな話で。だからと言って、今一番自分が強いとは思わないですし、今回やった相手以外とは対戦してないので。みんなに勝つまでは1位と思っていないですし、ポイントを重ねることが今の目標です。

グランドスマッシュに向けての気持ちは

今回はシングルスだけですし、最低限中国選手までは勝ち上がって。なかなか去年中国選手とは対戦できなかったので、得るものを得て。やっぱり一番は結果を残すことなので、しっかり優勝を変わらず目指して、こういう攻めのプレーが通用するか。そこを目指して勝ちたいなと思います。

張本智和 大会2日目結果

準決勝

〇張本智和(木下グループ)4-0 横谷晟(愛知工業大)
13-11/11-8/14-12/11-9

決勝

〇張本智和(木下グループ)4-2 及川瑞基(木下グループ)〇
11-8/9-11/11-5/11-7/5-11/11-8

文:ラリーズ編集部

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