トラットリア自家製蕎麦 武野屋 ~「武野屋らしさ」が心地いい、通いたくなるお蕎麦ランチ

倉敷に蕎麦の文化を広めたい。

その思いから2016年10月にオープンした「トラットリア自家製蕎麦 武野屋(たけのや)」。

おしゃれでスタイリッシュ、なのにどこかホッとする居心地の良さもあり、気軽にお蕎麦を楽しめるお店です。

白壁土蔵造りの古民家でいただくのは、美しい器に盛られた美味しいお蕎麦ランチ。

地元の蕎麦の味を受け継ぎつつ、「武野屋らしさ」にこだわった新しいお蕎麦の美味しさに出会えるお店を紹介します。

四季折々のお庭を望む、築150年の古民家トラットリア

倉敷駅から倉敷一番街を抜けると、古いお屋敷の壁に現れるエントランス。なんだか特別な場所の雰囲気がありますね。

向かって右が「トラットリア自家製蕎麦 武野屋」、左は和食店の「武野屋 別邸」となります。

「トラットリア自家製蕎麦 武野屋」の外観。築150年の古民家を改装した、趣のある建物です。

「トラットリア自家製蕎麦 武野屋」と「武野屋 別邸」の間にある広いお庭。

取材時3月だったため少し寂しい雰囲気ですが、春になると「桜」や「さつき」が咲いて華やかな景色が楽しめるそうですよ。

夜になると優しい灯りで迎えてくれる提灯(ちょうちん)。

武野屋の「武」の字は「宴もたけなわ」のたけなわ=竹縄がモチーフになっています。

こちらの白木に掘られた看板、なんとお客さんの手作りなんだとか。

武野屋の「武」の字の回りに、二重三重と円がふち取られているシンボルマークには

武野屋を中心に、二重三重と縁が広がりますように

との思いが込められているそうです。シンプルで素敵なマークですね。

ちなみに、車で行く場合は倉敷一番街の看板を左折したところに専用駐車場があります。

ジャズが流れる、和モダンで落ち着く店内

低くジャズの音が響き、柔らかな光が差し込む武野屋の店内。

シックなトーンに統一されていますが、木の温もりがあるからか暗く感じさせません。

窓に面したテーブル席。とってもハイセンスなのに、不思議と居心地がいいんです。

テーブル席からはお庭がよく見えます。
桜、つつじ、秋は紅葉、冬は雪景色も見られたそうです。

カウンター回りには、古い小道具やかわいい小物がたくさん。

NHKドラマ・連続テレビ小説「カーネーション」を彷彿とさせる、アンティークの足踏みミシン。なんと現役で使用できるそうです。

デニム生地にはしっかりと「武」のマーク。細かい演出が洒落ていますね。

アンティークミシンで縫った…わけではありませんが、スタッフさんのエプロンが素敵なので写真を撮らせてもらいました。欲しい!

エプロンのほかに、ランチョンマット、コースター、暖簾(のれん)は全てデニム生地。

デニムといえば倉敷市児島。現地のデニム工場に赴き、大きな1枚生地を購入して作られたそうです。

武野屋の2階は3部屋に別れてるお座敷席。これなら小さいお子さんも安心です。

赤ちゃんのお食い初めや還暦祝いなど、年齢や性別を問わず幅広いシチュエーションで利用できますね。

武野屋のランチメニュー。平麺、細麺、太麺いろいろ

武野屋のメニューを開く前に、メニュー表も見てください。とっても素敵なんですよ。

ランチは白木、ディナーはデニム、ドリンクはレザーとそれぞれ素材が違います。

ランチのお蕎麦は全17種類。イタリアンに細麺太麺、あんかけ蕎麦とバラエティに富んでいますね。

「次はどのお蕎麦にしようかな…」と選ぶ楽しさもあり、リピーターが多いこともうなずけます。

もちろん本格的なせいろもあり。ちなみに十割蕎麦はディナータイムのみの提供です。

もうひとつの名物は、武野屋のお蕎麦の師匠「いづも屋」の名代割り子そば。

いづも屋は武野屋の近くで長年親しまれていたお蕎麦の名店です。

惜しまれつつ閉店しましたが、その味を武野屋が受継ぎ、お蕎麦の出汁もいずも屋そのままの味が再現されています。

いづも屋の店主はいまも月1回味を確かめに武野屋に足を運んでいるのだとか。

太麺のだしごはんセット「和牛お肉のそば」。

和牛お肉のおそば(温)にだしごはんのセット」。1,518円(税込)。

和牛がたっぷりと入った温かいお蕎麦に、十八穀米、自家製のお漬け物がついた食べ応えのあるセットです。

国産牛のアキレスからとった出汁からは、コクのある贅沢な香りが漂います。

この透明感、お蕎麦の出汁と思えないですね。まったく牛の臭みがありません。

口に含むとほんのりとした甘味、そして牛独特のふくよかな旨味が広がります。

むちっとした噛み応えの太麺は、お出汁との相性が抜群!

しっかりとした弾力のあるお蕎麦なので、見た目以上に満足度が高い1杯です。

麺を食べ終わったあとのお楽しみ。この薬味を見たらやりたくなるのは…。

そう、「お茶漬け風」!
甘めのお出汁が十八穀米と驚くほど合う、おすすめの食べ方です。

お蕎麦のお出汁をたっぷりとかけて、最後の最後まで美味しく食べられますよ。

平麺で食べる「モッツァレラチーズとナスのトマトソースのおそば」

こちらは平麺の「モッツァレラチーズとナスのトマトソースのおそば」。1,628円(税込)。

うって変わってトラットリアスタイルのお蕎麦セット。若い人を中心に、ランチの定番お蕎麦だそうです。

パスタのタッリアテッレのような平麺のお蕎麦に、トマトソースがたっぷりと絡んでいます。

トマトソースの赤に波佐見焼きの白、そして青がよく映えます。この器も味わいのひとつですね。

蕎麦とトマトソース、初めて食べる組み合わせにワクワクします!

平麺の蕎麦はもちもちとした食感で、想像以上にしっかりとした歯ごたえ。
パスタよりギュッとした、密度の濃さを感じます。

甘めの濃厚なトマトソースにどっしりとした蕎麦の香り、お箸が止まらない美味しさです。

トラットリアスタイルのお蕎麦にはサラダとパンがセット。パンに付けるバターオイルが美味しかったです。

自家製そば茶プリンにガレット。デザートも蕎麦づくし

ランチセットにはデザートが付いてきます。もちろん蕎麦のスイーツですよ!

こちらは蕎麦粉を使ったクレープ「武野屋特製デザートガレット」。

ランチに+300円でガレットに変更可能です。それにしてもなんて美しい…。

こんなに美しく盛りつけされたガレットは初めてです。食べるのがもったいない!

軽くしっとりとした食感のガレットに、アイスクリーム、シロップ、色とりどりのフルーツがトッピングされています。

通常のデザートにも自家製そば茶プリンか自家製そば茶アイス、そして韃靼(だったん)蕎麦茶と自家製蕎麦ボーロ付き。

そば茶プリンもふるっふるで上品な甘さ。そば茶の香ばしさを感じるスイーツです。

春の期間限定「さくら海老のかき揚げとさくら切りのお蕎麦」

今回は特別に、桜の時期限定の「さくら海老のかき揚げとさくら切りの蕎麦」を見せてもらいました。

提供期間について詳しくはお店にお問い合わせください。

さくら海老がたっぷりと入った大きなかき揚げに、さくら色のお蕎麦のセットです。

わぁ~、なんてきれいなさくら色!食べるのがもったいないくらい愛らしいお蕎麦ですね。

蕎麦は更科粉(蕎麦の実の中心部分を挽いているので白い粉になります)を使用し、さくらの葉が練り込んであります。

さくらのお蕎麦を心待ちにしているファンも多いそうですよ。私も食べに行きたい!

気に入った器が買える!波佐見焼きとマスキングテープ

レジの近くでは、長崎県の波佐見(はさみ)町で焼かれる磁気「波佐見焼き」の販売スペースも。

波佐見焼きは400年の歴史があり、最近では日常使いにぴったりなおしゃれでモダンな器として愛されています。

武野屋ではランチを中心に使われてる波佐見焼き。

お客さんから「器も販売して欲しい」と要望があり、店舗販売を始めたそうです。

いまでも買い付けに訪れる長崎県の窯元「natural69」の波佐見焼きは、何といっても美しい藍色が特徴的。柄もかわいいですね。

この藍色とデニムとの相性の良さが決め手となったそうです。これは欲しくなる!

個人的にお気に入りの小鳥さん。磁器の滑らかさがいいですね。

この小さなお皿、見覚えがありませんか?だしごはんの薬味に使われていた小皿です。

気に入ったお皿を購入できるのは嬉しいですね。

こちらは窯元のnatural69と共同開発したマスキングテープ。

9つの器の柄が楽しめる、武野屋とnatural69だけで購入できるオリジナルマスキングテープです。

大切な人と素敵な時間を。何度でも行きたくなるお店

取材中、武野屋に連れてきたいなぁ、とたくさんの人の顔が浮かびました。

あの人はきっとこの蕎麦がいいな、これはあの人が好きそうだな。

誰を連れて行ってもきっと喜んでもらえる、楽しい時間を過ごせる。そう思えるお店って、実はすごいことなんじゃないかと思うのです。

和でも洋でもない、武野屋らしさとしかいいようがないこの魅力。

お蕎麦はもちろん器や内装、BGMにいたるまで、「武野屋らしさ」を追求した心づくしがありました。

武野屋を中心として人の縁が広がり、またその人が武野屋を訪れる。

まさにシンボルマークのように、武野屋の縁が広がりを見せています。

2019年4月に「武野屋中庄店」、2021年7月には向かい側に「武野屋 別邸」が開店し、ますます倉敷の蕎麦屋「武野屋」から目が離せません。

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