レイズの有望株・ブラッドリー 成長を手助けした「日誌」の存在

レイズの有望株右腕タジ・ブラッドリーは昨季マイナーA級とA+級で合計23試合(うち22先発)に登板して103回1/3を投げ、12勝3敗、防御率1.83、123奪三振という素晴らしい成績を残した。その急成長の裏には、投手コーチなどから得たアドバイスを書き記した「日誌」の存在があった。最初は「日記のように扱っていた」というブラッドリーだが、次第に練習や試合の記録を書き込むようになり、アドバイスや心に残ったフレーズなども書き留めるようになったという。その「日誌」が日々の成長に大きな役割を果たしていた。

1年前の春季キャンプ初日、ブルペンでの投球練習の際に投手コーチのR・C・リキテンスタインはカッターの投げ方についてブラッドリーにアドバイスをした。どのようにボールを曲げるか、どのように左打者に対して使うか、といった高度なアドバイスだったが、ブラッドリーはそれを「日誌」に書き留め、事あるごとに何度も見返したという。リキテンスタインは1人の若手選手が自分の将来のために努力する姿に感銘を受けた。

こうした努力の積み重ねは、ブラッドリー自身の肉体の進化とともに、昨季の大ブレイクに大きな役割を果たした。プロ1年目の2018年にルーキー級で防御率5点台に終わった右腕が、今では「MLBパイプライン」が公開する球団別プロスペクト・ランキングで6位にランクインし、近い将来には全体トップ100に名を連ねることを期待されているのである。

レイズはコーチが選手にアドバイスをする際に、ただ答えを与えるだけでなく、さらに別の質問を引き出すべきだという考え方を大切にしている。リキテンスタインによると、ブラッドリーはそうした球団の方針を実践する選手の1人であり、「彼はいつも物事の意味を理解して実行に移す。そして、さらに質問をしてくるんだ」と語っている。「彼との会話は実に爽快で、本当に楽しいんだ。同じ会話を2度繰り返すことがないからね」とリキテンスタインは言う。

「日誌」を書くときにブラッドリーが心掛けているのは「過去について考えすぎず、今後改善すべきと思うことだけを書く」ことだという。何ができた、何ができなかったという過去の結果については簡潔に書き記しておくにとどめ、今後成長するためには何が必要かを書く。さらに、「他人が犯した間違いを避けることは利益につながる」と考え、周囲から聞いた失敗談なども記録している。

「古臭いやり方だよね」と謙遜するブラッドリー。しかし、必要だと思ったことを「日誌」に書き留め、定期的にそれを読み返すことこそが、まもなく21歳の誕生日を迎える右腕の成長を支えているのだ。

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