景気動向・見通し、大幅下振れ。オミクロンとウクライナ情勢で。昨年夏レベルに後退

 昨年秋からの新型コロナ感染者数の収束で、飲食業や宿泊業など個人向けサービスを含む経済活動は徐々に再開し、景況は大幅な改善傾向で推移してきた。しかし、今年1月からのオミクロン株の流行により景況は再び後退へ反転、2月には感染者のピークアウトとなったものの、下げ止まり傾向が続く中、24日にはロシア軍によるウクライナ侵攻が始まり、今後しばらくは景況の大きな回復は期待できそうもない状況だ。

 3月3日に帝国データバンクが「TDB景気動向調査-2022年2月調査」を公表、副題は「新型コロナの感染続くなかウクライナ情勢が追い打ち。今後の景気は対露経済制裁の行方に大きく左右。」となっている。景気DIの推移を見ると、昨年21年2月に35.8であったものが7月には40.7まで回復したものの8月のデルタ株流行で39.2へと後退、その後9月からは復調し12月の43.9まで回復していた。しかし、今年1月からのオミクロン株の流行で再び減少に反転、2月は39.9と昨年9月の水準まで下降している。3月の予測も38.9とさらに落ち込む予測で、春以降は徐々に回復傾向に転じると見込まれているものの、6カ月後の8月時点で42.3と昨年の11月水準にも至らず、しばらくは大きな回復は期待されていない。

 この悲観的な見通しは新型コロナの動向に加え、ウクライナ情勢の先行きが不透明であることが影響しており、レポートは「今後 1年程度の国内景気は、新型コロナウイルスの感染動向のほか、ウクライナ情勢にともなう各国の経済制裁の行方に大きく左右されよう」と指摘している。

 業種別には、全10業界中9業界、51業種中41 業種で景気DIが悪化し、まん延防止等重点措置の適用、延長の影響を受け「小売」や「サービス」など個人向けサービス・消費関連が大きく後退した。原油高騰や半導体不足など多くの業種で悪影響が続いてきたが、これに加えウクライナ情勢の影響でさらなる原油高騰が予想され、「運輸・倉庫」などでの原価上昇傾向はさらに強まり、景況の下押し要因となる。企業規模別では、「大企業」、「中小企業」、「小規模企業」のすべてにおいて2カ月連続で悪化となっている。新型コロナに加えウクライナ情勢という新たな不確実性リスクが加わり「今後は、底堅い推移が見込まれるなか、地政学的な不確実性の高まりによる下振れリスクに注視する必要がある」とレポートは指摘している。(編集担当:久保田雄城)

帝国データバンク「TDB景気動向調査 2022年2月調査」。新型コロナの感染続くなかウクライナ情勢が追い打ち

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