国内最大級のビッグマッチ実現 4月9日、村田とゴロフキンが統一戦

記者会見するWBAミドル級スーパー王者の村田諒太=3月3日、東京都内

 世界ボクシング協会(WBA)ミドル級スーパー王者の村田諒太(帝拳)が4月9日、さいたまスーパーアリーナで国際ボクシング連盟(IBF)同級王者のゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)と王座統一戦を行うことが主催者から発表された。

 日本ボクシング史上、最大級のビッグマッチと表現しても決して過言ではないだろう。国際的にも大きな話題を呼ぶのは間違いない。

 統一戦は当初、昨年12月29日に開催予定だったが、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」に対する政府の水際対策強化の影響で延期されていた。

 両者の経歴がすごい。村田は2012年ロンドン五輪ミドル級金メダリストからプロ転向。17年、ミドル級の世界王座を獲得。一度奪われたが、返り咲きを果たした。

 「闘う哲学者」とも呼ばれており、戦略家として知られる。戦績は16勝(13KO)2敗。36歳。チャンス時に見せるラッシュには定評がある。

 ゴロフキンは世界的なスーパースターだ。04年アテネ五輪ミドル級の銀メダリストで、プロでも快進撃が続いた。

 WBA王座を19連続防衛した実績があり、破格の強打が時代を築いた。戦績は41勝(36KO)1敗1分け。

 試合前日に40歳の誕生日を迎えるが、年齢を感じさせないような鋭い連打が持ち味だ。

 ともに対戦が決まったことを前向きに考えている。村田は「気落ちした時期もあったが、今はいい状態だ。ゴロフキンは強さの象徴だが、私も最高のパフォーマンスを見せたい」と意欲満々。コロナ禍の余波で19年12月以来のファイトになるが「延期が自分を高めてくれた」とも語っている。ゴングに向け、調整は心配ないだろう。

 一方のゴロフキンも張り切っている。「村田は優れたチャンピオン。ビッグドラマショーが楽しみだ」と余裕あるコメント。抜群の実績に支えられている。

 大方の予想はゴロフキン有利だ。確かに安定感のある強さは抜きん出ている。プライドも並ではなく、万全を期して打倒村田に全力を注ぐはずだ。的確なパンチには一打必殺の威力が秘められている。

 しかし、村田にも勝機はある。試合展開について「距離を詰めに行ったとき、相手がどう対応するか」と積極的なコメント。ゴロフキンのバワーは十分に承知しており、計算された動きで主導権を握れるか。

 2年以上のブランクも逆にプラスになるかもしれない。リングに立つ喜びを力に変え、渾身のラッシュが見られるかどうか。(津江章二)

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