関係人口創出の仕組み提案 東京大生 雲仙市の仮想大学に協力 

観光や農業の現場での聞き取り結果を報告する東京大の学生=雲仙市小浜町、雲仙BASE

 東京大の学生が長崎県雲仙市を視察して地域課題解決の道筋を提案する「フィールドスタディ型政策協働プログラム」の発表会が5日、同市小浜町雲仙の交流拠点「雲仙BASE(ベース)」で開かれた。学生5人が、地域外の人材が地域づくりの担い手となる「関係人口」を創出する仕組みを提案した。
 同市は、基幹産業の観光と農業などの魅力を生かし切れていない状況を解決するために、市内全域を仮想大学「雲仙大学(仮称)」のキャンパスに見立て、課題を抱える各地域に都市側の企業や組織、学生のアイデアを取り込む構想を進めている。本年度は東京大に協力を依頼。学生7人が同市の温泉街や農漁業の現場を訪れて課題を聞き取り、どうすれば都市側の人たちが同市に積極的に関わりを持つようになるのかを検討した。
 発表会には学生の他、同市の担当職員ら約10人が出席し、約20人がオンラインで視聴した。学生らはスクリーンに資料を映しながら「都会の人に、地域課題を『自分事』として捉えてもらうことが重要。関係人口の創出がキーワード」と説明。雲仙ベースなどを拠点に、都会の人たちが市民と交流して雲仙に関心を持ってもらい、人と人のつながりづくりを進めるべきだと提案した。
 他都市の先行事例を検証し、雲仙市の仮想大学の構想を市民に周知することも必要だと指摘。実現できそうな試みとして、課題を抱える市民と、解決につながるアイデアやノウハウを持つ都会の人たちをマッチングする登録システムの構築などを挙げた。
 同大教養学部2年の岡田悠暉さん(20)は活動を振り返り、「聞き取りの際に農作業をして、その背後にある(担い手不足などの)課題にも触れることができた。今後、体験コンテンツを増やすことで、多くの人に関わってもらえるようになると感じた」と述べた。

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