阪神佐藤輝は「2年目のジンクスを終えた」 DeNA牧ら若手野手の課題を専門家指摘

阪神・佐藤輝明(左)とDeNA・牧秀悟【写真:荒川祐史】

DeNA牧はOP戦打率4割超えスタート、野口寿浩氏「いい悪いで一喜一憂する選手ではない」

プロ野球界でよく言われる「2年目のジンクス」。新人選手や実績のない若手選手が大ブレークした翌年に不振に陥ることを指して使われる。昨季はセ・リーグ新人王の広島・栗林良史投手、パ新人王のオリックス・宮城大弥投手だけでなく、新人特別賞に両リーグ合わせて6人を選出。今季はいずれも各球団で主力と期待される。そんな選手たちにとって、「ジンクス」とは何か。日本ハム、阪神などにプレーした野球評論家の野口寿浩氏に解説してもらった。まずは打者編だ。

ここまでオープン戦で好結果を出しているのがDeNA・牧秀悟内野手だ。6試合で打率.471、0本塁打、3打点。OPS1.056と4番として文句なしの成績を残している。昨季はリーグ3位の打率.314を記録。同8位タイの22本塁打を放った。野口氏は牧を高く評価した上で、現時点での課題を挙げた。

「3割以上の打率を残して、本塁打も佐藤選手と2本差。そしてオープン戦は4番で4割以上を打っている。彼クラスになると、いい悪いで一喜一憂することはない。問題は自分が何を課題に思って打席に立って、それができたか、できないか。本人だけにしか分からないことですが、それだけにフォーカスすれば良いと思います。他球団のスコアラーも牧選手の対策には頭を悩ませているのではないでしょうか」

セ盗塁王の中野は下半身コンディション不良「まずは治してから」

一方、阪神で4番候補に挙がる佐藤輝明内野手はどうか。昨季は前半戦だけで20本塁打を放ったが、後半戦はリーグのワースト記録となる59打席連続無安打と不振が続いた。そんな虎の大砲について、野口氏は「もう2年目のジンクスを超えた」と指摘した。

「佐藤選手の場合は昨季中に弱点を露呈した。だから、2年目のジンクスを終えたような感じはします。今年も相手バッテリーから弱点を突いた攻め方をされるでしょう」

「インコースや高めの速い球と、それを意識させられての低めの落ちる球に対応できていませんでした。そこでボールゾーンの厳しいところに手を出して、どんどん悪循環に陥った印象です。まずはインコースと高めの球をどうするか」

今春はここまで5試合で打率.294、0本塁打、2打点でOPS.728。持ち味の本塁打こそ出ていないものの、まずまずのスタートを切ったように見える。野口氏は「今のところオープン戦では選球眼はしっかり出来て、ボールには我慢できているように見える。打つべき球を打つようになっている。ストライクゾーンの球だけを打っていれば成績は上がってくると思う」と今後に期待を込めた。

阪神の中野拓夢内野手は下半身のコンディション不良でキャンプ2軍スタート。昨季は30盗塁でタイトル奪取したが、ここまで実戦出場はない。野口氏は「中野選手は怪我の具合が心配されます。なんとか開幕に間に合わせようと突貫調整をしているようであれば、シーズン中にもう1度、怪我をする可能性がある。まずは治してから。ポジションが遊撃なだけに」と、じっくり調整を進めるべきと指摘した。(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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