ジェンダー・ギャップ指数試算 長崎県分析 市町議男女差は全国最下位 国際女性デー2022

長崎県ジェンダー・ギャップ指数

 8日の国際女性デーに合わせ、上智大の三浦まり教授らでつくる「地域からジェンダー平等研究会」は、男女平等の度合いを政治、行政、教育、経済の4分野に分けて分析した「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」の試算を公表した。指数は「1」に近いほど平等であることを示し、長崎県は経済が0.361で12位だった。しかし、政治は0.124で39位、行政は0.206で35位、教育が0.328で39位と低く、男女格差の大きさが浮き彫りとなった。
 三浦教授は「特に低いのが市町議会。女性に直接的に不利な状況があっても改善されず、放置されることになる。生活に直結する問題」と指摘。「有権者が首長や政党選びをもっと真剣にすると意識が変わり、制度も変わっていく。若者はジェンダー平等意識が強いので、その世代が中核になって日本が変わっていくと希望を持っている」としている。
 研究会は内閣府などの統計から4分野の計28指標を選出。スイスのシンクタンク、世界経済フォーラム(WEF)が毎年公表するジェンダー・ギャップ指数と同様の手法で統計処理した。
 政治分野では、女性と男性の比率による国会議員の指数は0.2で13位、県議は0.15で12位。一方、市町議は全国最下位の0.09で、女性が1人もいない議会が調査時点で6議会あった。
 行政分野では、市町の管理職への女性登用が0.132、審議会の委員が0.329で、ともに45位。県は上位の指数もあったが、14位の管理職でも0.153と男女差は明らかだった。
 子どもたちのジェンダー意識の形成に影響が大きい教育分野。大学進学率の指数は0.914と男女差が縮まってきたことがうかがえるが、学校現場での女性登用は低調。小学校校長は0.121で44位、中学高校の校長は0.06で40位だった。
 経済分野では、フルタイムの仕事の賃金が0.793で2位、フルタイムの仕事に従事する人の割合が11位。男女差が比較的小さいという結果だったが、そもそも男性の賃金が低いことなどが関係している面もある。経済分野は地域差、産業構造の違いを織り込んで考えることが必要という。


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