【識者談話】沖縄、経済の男女平等1位 どう読み解く?成定洋子・沖縄大学教授

 上智大の三浦まり教授らでつくる「地域からジェンダー平等研究会」は8日の国際女性デーに合わせ、各都道府県の男女平等の度合いを政治、行政、教育、経済の4分野に分けて分析した「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」の試算を公表した。経済分野で1位となった沖縄。この結果をどう読み解くのか、識者に聞いた。

【結果はこちら】沖縄の男女格差、全国と比べてみたら…進まぬ女性登用、指数で探る

 
 今回発表された都道府県別ジェンダー・ギャップ指数によると、経済分野で、沖縄県が1位となった。ただ、指標ごとに見てみると「企業社長」と「フルタイム以外賃金」が1位である一方で、「農協役員」45位、「企業役員・法人管理職」43位と、同じ経済分野で差が際立つ結果となっている。県内の男性の賃金が総じて低く、非正規雇用や中小企業の割合が高いことなども含めて考えると、沖縄県の経済分野のジェンダー平等が進んでいるとは考え難い。

 ジェンダー統計で問題を可視化することは大変重要である。しかしジェンダー問題が、地政学的・歴史的・文化的・社会的な影響を受ける複雑なものであることに鑑み、あるジェンダー統計が必ずしもあらゆる地域のあらゆるジェンダー問題の実態を反映・可視化しているとは限らない可能性もある。

 順位や数値に目が奪われがちだが、統計の生産過程に注意を払ったり、各地域のさまざまな背景・文脈を分析したりすることで、統計が逆にジェンダー問題を覆い隠してしまわないように、統計を利用する必要がある。

 政府統計やジェンダー統計を含む統計データ、それらを根拠とした諸言説を無条件に受容するのではなく、統計から見えることもあるが、不可視化されることもあるということを心に留め置くようにしたい。 (ジェンダー研究)

特集・国際女性デー2022

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