明日合意できずならシーズン再短縮 15日以上短縮でFA資格に影響

「ジ・アスレチック」のエバン・ドレリッチ記者などの報道によると、メジャーリーグ機構はメジャーリーグ選手会に対して日本時間3月9日の労使交渉で合意できた場合、2022年のレギュラーシーズンを162試合開催することを提案しているようだ。ただし、合意できなかった場合、すでに1週間短縮されているレギュラーシーズンをさらに1週間短縮することを発表する予定だという。さらに交渉がもつれ、レギュラーシーズンが15日以上短縮されることになった場合、選手のFA資格に影響が出てくる。

メジャーリーグではサービスタイム(メジャー登録日数)が6年に達した選手にFA資格が与えられることになっている。サービスタイムは172日を1年とカウントするため、2022年のレギュラーシーズンが172日以上開催されれば、選手は短縮シーズンであっても1年分のサービスタイムを得られる。2022年のレギュラーシーズンは当初186日間の予定だったため、2週間(=14日)短縮されたとしても、選手のFA資格にはそれほど大きな影響は出ない。

しかし、レギュラーシーズンが15日以上短縮されるような事態になれば、話は変わってくる。レギュラーシーズンが172日未満となり、1年を通してメジャーでプレーしたとしても1年分のサービスタイムを得られなくなってしまうからだ。たとえば、大谷翔平(エンゼルス)は昨季終了時点でサービスタイムがちょうど4年のため、最短で2年後(2023年シーズン終了後)にFAとなる。ところが、今季のサービスタイムが1年未満となった場合、FA市場に出るのは最短でも2024年シーズン終了後となってしまうのだ。

「MLBトレード・ルーマーズ」では一つの例として、4月末までの試合がすべてキャンセルされた場合を想定。この場合、レギュラーシーズンは31日短縮されて155日間となる。たとえば、昨季までのサービスタイムが5年17日だった場合、この選手は155日を加えてサービスタイムが6年に達し、今季終了後にFAとなる。しかし、昨季までのサービスタイムが5年16日の選手は、155日を加えても5年171日となり、今季終了後にFA資格を得ることができなくなる。当然のことだが、シーズンが短縮されればされるほど、FA資格に影響が出る選手は増える。

FA資格を得るのが1年遅れると、FA時の年齢が1歳増え、それはもちろんFA市場で得られる契約規模にも影響する。FA資格を得るのが遅れることは、選手にとって死活問題なのだ。よって、選手会は短縮シーズンでも1年分のサービスタイムを得られるように特例措置を求める可能性が高い。サービスタイムの扱いが新たな火種となって労使交渉がさらにもつれることも懸念されるため、労使交渉の早期決着が望まれる。

© MLB Advanced Media, LP.