”3-1で勝つ” MIOびわこ滋賀が表現する「恐れぬサッカー」の真髄とは?【JFL開幕SP】

3月13日に2022シーズンの開幕を迎えるJFL。Jリーグ昇格を狙うプロクラブから、地域で戦う企業チームまで、様々な思惑を持つ者が戦うコンペティションだ。

今回Qolyでは関西地域でJFLを戦う4つのクラブ、FC大阪、FCティアモ枚方、MIOびわこ滋賀、そして奈良クラブの監督にインタビューし、今シーズンの展望を伺うことにした。

第2弾で取り上げるのは、まだJリーグのクラブが存在しない滋賀県からJFLに参戦している「MIOびわこ滋賀」。

チームを率いて3年目となる大槻紘士監督に直撃し、今シーズンに向けての展望を伺ってきた。(取材日:3月4日)

【動画】MIOびわこ滋賀、大槻拡士監督がシーズンを展望する

――まずはやはり昨年の成績から振り返ります、10勝7分け15敗、35得点48失点で勝点37の12位でした。もっとできたな…という思いがあるのでは?

この数字を見て満足する選手やスタッフはいないでしょうし、もっと勝ちを拾えた部分もあります。引き分けも含めて、やっぱり勝点37は厳しい数字ですね。

「攻撃ありきの守備」というスタンスでやっているのですが、自分が就任してからの初年度は、コロナの関係で試合数が半分になった中で23点を取れました。

しかし、昨年は年間を通して35点でした。決めるべきチャンスを決めておけばもっと取れたとは思うんですが、それを言い出すと「たられば」になってしまうので、言い訳はしません。

(シーズンを通して)60点くらい取るチームでないと、優勝争いには絡んでいけない。もっともっとこだわっていかなければならない、一つの課題になる部分かなと思っています。

――昨年印象的だった試合は?

すべて印象的といえば印象的ですが、ホームのHonda FC戦ですね。2-2の引き分けだったんですが。

Honda FCさんは全てにおいて質が高いですし、どの対戦相手からも怖がられるチームです。

うまくて、強くて、勉強させてもらえるようなチームを相手に、我々がボールを握ることができて、理想とする得点の形や守備の組織が出た試合でもありました。

終了後にはHonda FCさんの監督から「何もできなかった、守備も攻撃も」と仰っていただきました。そういう意味ではとても印象的だったかなと。

――最も上手く行ったこと、逆に上手く行かなかったことは?

上手く行かなかったことは、やはり攻撃ですね。前年度に比べて、得点が減ってしまったところ。

MIOがこういうサッカーをする…というのは、僕が指揮した1年目で分かられていました。1年目はいい意味で「ハマった」と思うんですが、2年目はやはり「分かられている」部分があって、分析もされました。

そのような時に違う方向性へ持っていく中で、自分の引き出しはもっと持っておかなければいけないと、改めて勉強させてもらいました。そういう部分では、自分自身がそのように持っていけなかった…というところもありますね。

逆にうまくいったところは、前期の試合がなかなか勝てない中、「何かを変化させなければいけない」となったあとです。

もちろん「まずは守備から整理して勝ち点を拾っていく」というやり方もあったのですが、思い切ってシステムを攻撃的な構成に変えて、それがうまくハマりました。

選手たちも積極的に取り組んでくれました。そのような時は大体困惑するものなんですが、その変化がスムーズに行えたことで、後期は内容も含めて右肩上がりになったかなと思います。

――オフシーズンには坂本選手、永冨選手、内野選手などベテランが引退した一方で、大学生を中心に補強したように思います。どんなコンセプトで補強を進めましたか?

MIOに長く所属していた選手やチームの中心になっていた存在が、かなり抜けました。時代が変わるMIOになる…というのはわかると思います。

今年は「複数のポジションができる選手を獲得した」というのが一つのポイントです。

チームに入ってからのコンバートもあると思います。「このタイプならサイドバックもできる、そしてここもできるだろうな…」と、それは僕の感覚でもありますね。

もちろん一つのポジションのスペシャリストもいるんですが、サッカー選手にとって複数(の役割が)できるのは非常に良いことですしね。

――この2シーズンはイレギュラーなことが多いですもんね。

そうですね。怪我もそうですし、コロナもそうですし。なかなか大変です。

――ここまでのプレシーズンで印象的だった選手はいますか?

みんな大きな印象を与えてくれるようなプレイをしてくれていますし、「全員」ですね。特に新人の選手はまだまだ引き出してあげなければいけない。それはこちらの役割ですね。個人というより、全員です。みんなまだまだこれから色を出していって欲しいなと思います。

――13日の開幕戦は奈良クラブとのホームゲーム。なんと昨年と全く同じカードになりました。あのときはまだフリアン監督が来日していなかったのですが、どんな印象のチームですか?

守備にしても攻撃にしても、「組織だったチーム」かなと。プラス個々のアベレージも高いですし、個人で解決しなければいけない局面でも打開できる力を持っている選手も多い。攻守ともにバランスの取れたチームかなと思っています。

――MIOにとってはリベンジマッチですね。

後期では勝ったんですが、開幕戦では先制したあとに後半逆転されて、しかもそこから開幕4連敗と続いてしまいました。今年はまた開幕で当たるということで、勝つために今一生懸命やっています。

――今シーズンのキーポイントは?

何個かあげるとすれば、まずは開幕。そこで勝つか負けるかは大きなポイントですし、選手たちの入り方も変わります。

また、強いチームというのは絶対に連敗はしないもの。シーズンの中では負けることも必ずありますが、それを続けない。それができなければ、絶対に上にはいけないと思います。

あとはやはり夏の時期ですね。選手はみんな仕事もしているので、いろんなことに気を配らなければ怪我にも繋がりますし、バテてしまうこともあります。それはマネジメントの部分でポイントになりますね。

――JFLは、真夏でも太陽が照っている間に試合しなければいけないですもんね。

キックオフが午後1時とか、平気でありますからね。

――MIOびわこ滋賀が目指しているスタイルは?

「3対1で勝つサッカー」を掲げています。1点取られても、3点を取りに行く。1点くらい取られるのは当たり前で、その代わりに3点を取りに行く。そしてしっかりボールを持つ。90分それができれば守備をすることもないですしね。極端な話ですが…。

「ボールを握ることを怖がらずにやる」というコンセプトで、加えて守備をおそろかにするのではない。「こういう攻撃があるから、こういう守備ができる」と考える。

攻撃から考えた守備を作っています。いかにアグレッシブな攻撃をして、取られたあとにもう1回奪い返せるか…というのがスタイルですね。

そういう意味では、見に来てくださるお客さんに「楽しいな」と思ってもらえるようなサッカーをしたいなと思っています。

――最後にサポーターへメッセージを。

昨年はスタートで躓いてしまったんですが…開幕戦も去年と同じ奈良クラブさんなので、リベンジも含めて開幕から連勝できるようにしたいです。

少しでも勝利の確率を上げるためのトレーニングを全員で行って、開幕を迎えたいと思います。ぜひ会場に足を運んでいただき、応援よろしくお願いします。

――ちなみに、今11時半くらいなんですが、お昼は何を食べますか?

事務所の食堂があるんですが、そこの定食ですね。メニューは出ているんですけど、僕は楽しみにするためにそれを見ていないんです。着いてからの楽しみにしています。

――ありがとうございました!MIOびわこ滋賀、大槻紘士監督でした。

MIOびわこ滋賀の開幕戦は3月13日14時キックオフ、ホームの布引グリーンスタジアムでの奈良クラブ戦となる。

チケットについても発売中。詳しくはJFLやMIOびわこ滋賀の公式ホームページからチェックして欲しい。

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