空き家が安心住宅に…!?「住宅弱者」を救うあるプロジェクトとは

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突然ですが、これ何を示したグラフかわかりますか?

これは奈良県内の空き家件数の推移を示したグラフです。少子高齢化・人口減少のなかで管理が十分にできていない空き家は、倒壊の危険性や、防犯性の低下、景観への悪影響も心配され、非常に大きな課題となっています。こうした空き家の対策として、「住宅弱者」に活用してもらう取り組みが、全国で行われていて、奈良県内でも始まりました。

「住宅弱者とは」経済状況や年齢など様々な理由で入居先が限られてしまう人のことです。「住宅弱者」はコロナ禍で、さらに増えるおそれも指摘されています。この全国的な問題となっている空き家がなんと「住宅弱者」を救う手立てになると注目されています。県内でもある女性が立ち上がりました。

壁が崩れ、むき出しになった木材、割れたガラスに、床には外から入り込んできた植物が散らばっています。

ここは10年以上放置されていたとみられる古びた空き家です。県内にある築50年は経つとみられるこの空き家。ある人たちを助ける家として生まれ変わらせようと、立ち上がった女性がいます。

清水美帆さん。清水さんは臨床心理士として県内外の診療所などで働き、日々、患者の心と向き合っています。

そんな中、プライベートの時間を使って取り組むのは「住宅弱者」と呼ばれる、経済状況や年齢など様々な理由から、賃貸住宅への入居が難しい人々への支援「住宅弱者に安心住宅を 空き家改修プロジェクト」です。

「住宅弱者」はコロナ禍によって、さらに増加するおそれも指摘されています。プロジェクトは傷みの激しい空き家を、生活に困らない最低限の範囲でリフォームし、地域の最も安い賃料で貸し出すというもの。清水さんは去年12月、この空き家を購入し、プロジェクトに理解を示す大工と一緒に、自ら改修を手がけます。立ち上がった背景には、自身の経験があったといいます。

清水美帆さん

「私、シングルマザーなんですけれど、最初に家を探すときも、敷金・礼金高過ぎると、ここには引っ越せないなとか、ぺット飼っていたらこの家無理だなとか、値段的なものも大きくて、自分が住める家はものすごく限られていて。自分も家探しで苦労してきた人間なので、苦労されている方がたくさんいるっていうのを知ったので、その方たちのためにと思いました。」

 しかし、この計画は簡単な道のりではありませんでした。清水さんは3社にリフォームの見積もりを依頼しましたが、想定の5倍近い金額になったり、断られたりしたといいます。

清水美帆さん

「ちょっと不眠症でしたね。横になっていても、リフォームのことしか考えていなくて、頭の中ずっとそれがぐるぐる回っていて。とにかくやったこともないことなので、何でこんなことに手出したんやろとか、何やってんねんやろうみたいな感じで。それが一つずつ仲間の力や大工さんの力、家族の力もそうですし、解決していって…。はあっ、っていう感じですね。」

このような空き家再生と住宅弱者を支援する活動は今、全国で進められています。清水さんは各地にいる仲間たちと日々、情報を共有して協力者を募っています。かつての自分のような住居に困っている人を生まないため。清水さんの思いが、ひとつひとつの作業に込められています。

そして、今月5日、3カ月にわたって行われた改修が終了し、不動産業者や大工など、関係者に向けた内覧会が開かれました。「必要最低限の改修」「なるべく安く」を掲げてきたこの取り組みのポイントを解説。遠くに住む人にはウェブ会議システムを通じて話します。

プロからも好意的な声が聞かれ、手ごたえは十分でした。自らの手、そして家族や、協力者たちの手を借りて進めてきたこのプロジェクトにはもう一つ大きなメリットがあります。それは…空き家問題の解消です。

年々、深刻な状況となるなかで、清水さんは住宅弱者と空き家問題を解消できる一石二鳥な取り組みであると期待を込めています。

清水美帆さん

「ここがよびがえって人が住めることで、近所の方たちがすごく明るくなるんですよね。ボロボロだしどうしようもない、多分この家もそうだったと思うんですけれど、だから売れ残っていて私のところに来てくれたので。そんな家がたくさんあって、でもその家がもう1回こうやって、誰かの役に立つっていうことが確実にできるので、そこは、本当にメリットしかないかなって。」

人と人、そして家との巡りあわせで崩れかけていた空き家は温かな家へと生まれ変わりました。清水さんは持続可能な取り組みにするために現在、2軒目を検討しているといいます。

帰る家があること、そして誰もが安心して毎日を送れるように、清水さんの活動は続きます。

※この記事は取材当時の情報です。