未来の関心事から垣間見るZ世代と中高年の大きなジェネレーションギャップ

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、“未来調査データ”で見えたジェネレーションギャップについて解説しました。

◆Z世代と中高年で大きく異なるデジタル、ジェンダーの考え方

今回、「未来調査データで見えたジェネレーションギャップ」について解説するのは、博報堂生活総合研究所 上席研究員としてデータ分析をもとにした生活者研究と未来予測に取り組むデータ分析の専門家でNewsPicksのプロピッカー・酒井崇匡さん。

酒井さんが属する博報堂生活総合研究所では、「2040年に普通になっていてほしい事柄」に関する調査をもとに、未来のデータベースとなる"未来年表”を構築。そこでさまざまな未来予測を集め、そのなかから120個の未来を選りすぐり、15歳から60代までの1万人を対象に「どの未来を実現してほしいか」、「実現してほしくない未来」を選択してもらい、「Z世代(25歳以下)」と「中高年(41歳以上)」の回答結果を分析したところ、興味深いことがわかったとか。

まず、Z世代の関心が中高年に比べて高かった項目が"デジタル”。特に「メタバース」関連は高く、また仮想空間や暗号資産・暗号通貨、そしてアバターを使ってのコミュニケーションなど。その理由について、酒井さんは「Z世代は新しいものをとりあえず使ってみようという意識があり、コロナでテレワーク、あるいはオンライン授業などをしている世代にはそうしたことが馴染み深いものになってきている」と解説します。

反対に、中高年の意識については「オフライン上での生活ができあがっているので新しいテクノロジーが必要ないという人もいれば、(新しいテクノロジーに)怖さや不安を感じている人も多いのが結果として見えてきている」と指摘。

さらに、Z世代と中高年でギャップが大きかった項目が"ジェンダー”。例えば、男性の化粧、性転換や同性婚といったことに対し、Z世代はかなり寛容。それぞれ自分が思っているように幸せに生きることが一番というスタンスなのに対し、中高年はそれが社会のスタンダードになることに抵抗があるという意見が見て取れました。

こうした結果に、酒井さんは「メタバース、ジェンダーも含め、枠を飛び越えることに乗れるか乗れないかで世代の分断がある」と言います。

法律事務所ZeLoの弁護士・由井恒輝さんは、ジェンダーの捉え方については国会の議論などからもZ世代と中高年で大きな乖離が見て取れると言いつつ、「これは世代観もあるが、(生きてきたなかで)染み付いている当たり前のものがある。(中高年は)"男たるものこうあるべき、女はこうあるべき”といったことを教育のなかで染み込まされてしまった世代だと思う」と持論を展開。

それに対し「東京新聞」整理部 整理記者の大島晃平さんは「確かに教育も大きいと思うが」と前置き、「SNSで誰もが発信できるようになったことで、今までは見えてこなかった少数派の声が多くの人に触れるようになった。それが意識の変化に繋がっていると思う」と主張します。

◆中高年が関心を示した未来事象は副業とエコ

一方、中高年がZ世代とほぼ同等の数値で興味を示していたのが「副業を持つ働き方が主流になっている」。また、「ゴミを肥料・部材に完全再利用する」や「使った水をろ過して繰り返し利用する」といった"エコ”関連は、Z世代よりも中高年のほうがより意識が高い結果に

◆中高年が関心を示した未来事象は副業とエコ

一方、中高年がZ世代とほぼ同等の数値で興味を示していたのが「副業を持つ働き方が主流になっている」。また、「ゴミを肥料・部材に完全再利用する」や「使った水をろ過して繰り返し利用する」といった"エコ”関連は、Z世代よりも中高年のほうがより意識が高い結果に。

"副業”に関しては、「低成長時代、生き残りをかけた最大の関心事。会社の人事も対応していかないと会社自体も生き残れない時代になっている」とキャスターの堀潤も納得。

そして、副業に付随し、酒井さんが「面白いデータがある」と話していたのは、世間の人々の検索に関すること。「例えば『◯◯になる方法』でいうと、"お金持ちになる方法”、"ポジティブになる方法”と検索する人が多いなか、40代男性の3位では"YouTuberになる方法”がランクインしている」と紹介。

これは全年代を通してもかなり高い比率だそうで、「YouTuberは人によっては稼げるチャンスがあると浸透してきているため、興味を持っている人がとても多い」とその背景を語ります。

総じて、この「未来調査データ」からわかったこととして、酒井さんは「Z世代と中高年では、Z世代のほうがリベラルで、中高年は保守的・頑固という見方をされることがあるが、今回のデータからお互い握手できることがたくさんあることがわかった」と強調。そして、「この調査結果が、両者の接合点を世代間同士で見つけるきっかけになれば」と期待していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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