対馬「金田城」のジオラマ完成 国境の島の歴史 アニメで解説 「ふれあい処」で公開

金田城の築城当時の様子を550分の1で再現したジオラマ=観光情報館「ふれあい処つしま」

 長崎県対馬市の国指定特別史跡「金田城跡」の築城当時の姿を550分の1で再現したジオラマが完成し、同市厳原町の観光情報館「ふれあい処つしま」で8日、公開が始まった。専用タブレット端末で特定のポイントを読み取ると、国境の島の歴史が学べるアニメーション動画が視聴できる。
 金田城は、大和朝廷が667年に築いた朝鮮式の山城。外敵の侵攻を防ぐため朝鮮海峡を見渡せる城山(標高276メートル)に設置し、防人(さきもり)が常駐した。日露戦争前には、旧日本陸軍が砲台を設置。現在も総延長約2.2キロの石塁が残る。
 金田城を巡っては、日本城郭協会が2017年に「続日本100名城」に選定したほか、元寇をモチーフにしたゲームソフト「ゴースト・オブ・ツシマ」が世界的にヒットするなどし、国内外から注目が集まっていた。ジオラマ公開は、観光客誘致に向け、金田城の魅力アップを図る市の「歴史資産活用事業」の一環。市の委託を受けた森ビル(東京)が制作した。

専用タブレット端末でジオラマの各ポイントを読み取ると視聴できる動画の一場面

 ジオラマの大きさは縦横1.7メートル、高さ0.54メートル。山肌や石塁、建物の様子などを再現し、金田城を俯瞰(ふかん)できる。無料で貸し出すタブレット端末で、ジオラマ上に配置された赤い人形を目印に各史跡を読み取ると、対馬の歴史が学べる7種類のアニメ動画が視聴できる。 実際の金田城跡への周遊を促すため「スペシャルコンテンツ」も用意。ジオラマ見学後にもらえるカードを持ち、指定の流れを経て山頂の看板をスマートフォンで読み取ると、8種類目の特別動画が視聴できる。

ジオラマに配置された赤い人形。これを目印に各ポイントをタブレット端末で読み取ると動画が視聴できる

 市は7日、報道陣にジオラマを事前公開した。市観光商工課の阿比留正臣課長は「(ジオラマや動画で)古代の昔から国防の最前線を担った、対馬の歴史への理解を深めてもらいたい。山頂は景色が素晴らしいので歴史に思いをはせながら登ってほしい」と話した。
 市は3月末にも、築城当時などの様子をVR(仮想現実)で再現したパノラマ映像を、特設サイトで公開する予定。

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