脳出血による昏睡状態から奇跡の復活を目指すフィリーズ・ブリトー

フィリーズのマイナーキャンプに「奇跡」の復活を目指す男が参加している。ベネズエラ出身の24歳の有望株、ダニエル・ブリトーだ。ブリトーは昨年7月下旬、AAA級の試合中に脳出血で倒れ、2度の脳手術を受けた。昏睡状態に陥り、集中治療室で2カ月近くを過ごした結果、体重は50ポンド(約22.7キロ)も減少。しかし、昏睡状態から目を覚まし、10月から理学療法をスタート。12月にはバットを振れるところまで回復した。そして今、自身の「夢」であるメジャー昇格を目指してキャンプ地のグラウンドに立っている。

ブリトーは2014年7月に国際FAとしてフィリーズと契約。その後、着実にマイナーの階段を上り、昨季はAA級の63試合で打率.296、6本塁打、22打点、出塁率.363、OPS.820と結果を残し、AAA級に昇格後も8試合で打率.286、2本塁打、8打点、出塁率.375、OPS.982と好成績をマークしていた。ところが、7月下旬の試合中に脳出血で倒れ、脳手術を受けることに。昏睡状態に陥り、生死の境をさまよった。

昏睡状態から目が覚めたとき、ブリトーは「(グラウンドに)戻りたいと思った」という。球団や家族、友人からのサポートによりプレーできる状態まで回復し、身体検査も無事にクリア。「僕にとって、これは奇跡だ」と本人が語るように、もう1度メジャーの舞台を目指せるチャンスがあること自体が奇跡的なことだ。「神様に感謝している。フィリーズにも感謝している」とブリトーは言う。

2018年に二塁手部門でマイナーのゴールドグラブ賞を受賞したブリトー。守備力には定評があるだけに、昨季のような打撃成績を残すことができれば、「何があっても僕の夢なんだ」と語るメジャー昇格はグッと近付くはずだ。そして、ブリトーは自身の夢を追う過程で多くの人々に勇気を与えることになる。「自分が人々を勇気づけることができるというのは、素晴らしいことだ。もっと多くの人々に感動を与えたいというモチベーションが湧いてくる」と語るブリトーの今後に注目したい。

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