目黒川 桜の風物詩再び中止も名物「ぼんぼり」がキーホルダーに 名入れサービスが人気

東京・目黒川沿いの春を彩る名物「ぼんぼり」の設置が、コロナ禍の影響で今年も見送られる中、中目黒のアクリル加工会社「目黒工芸社」がこのほど、ぼんぼりを再現したキーホルダー「ナカメのぼんぼり」を発売した。”本物”のように、好きな文字をキーホルダーに入れるサービスが人気だという。

「大」と「小」の2種類がある

3月から4月の桜の開花時期に目黒川沿いに飾られる、ピンク色の「ぼんぼり」は中目黒の名物。協賛金を支払うことで側面に会社名やメッセージ等の文字を入れられ、それを目当てにする花見客の姿もあったが、2020年以降はコロナ禍の影響で川沿いで開催される「桜まつり」同様、設置・点灯が中止されている。

桜の名所・中目黒を盛り上げる「ナカメのぼんぼり」

「ナカメのぼんぼり」は、約2年前に「町を盛り上げたい」と生み出された。コロナ禍で初めてぼんぼりの点灯が中止になったタイミングと重なった。企画デザインを担当した日本デザイン株式会社の大塚剛さんは「町の風景をもう一回作れたら」との思いを込めた。これまでは期間限定だったが、今年から生産体制を整え通年で販売する。

六角形のキーホルダーは、”本物”のぼんぼりと同様にピンクと白色の面が交互に並び、「目黒川桜まつり」の青文字が書かれている。ひとつひとつ手作業で製作し、板の切り出しや文字の彫刻には老舗の技術が生かされた。目黒工芸社の両角耕太郎さんは「『なるべく本物に忠実に』ということでかなり試行錯誤しました」と話す。

両角さんによると、注文者の約9割は、好きな文字を彫刻してもらう「名入れ」の追加サービスを利用するという。「もともと目黒川のぼんぼりにアイドルさんの名前を入れて写真を撮ることがあった。その需要を取り込んでいるのか、アイドルさんのお名前や『入学おめでとう』などの名入れもあります」。家族の名前を入れ、一家で持ち合う利用もあったという。

好きな文字を入れられる

同社によると昨年の販売数は約600個だったが、今年は受注開始から約2週間で420個以上が売れた。両角さんは「社内全員で動いています。中目黒には工場が少ないので、生き残り組として街に貢献できたら」と語った。

(よろず~ニュース・今井 佳奈)

© 株式会社神戸新聞社