第33回「絶頂したら負け!? 魅惑のバトルコース」

「ゆうさん、レズバトル鑑賞コースをはじめるで!」──レズっ娘グループ代表の御坊さんから、はじめてそう言われたとき、私の頭は混乱しました。 (えっ、プロレス? それともお笑い!? バトルって何〜?) こんな反応をするのは、私だけではないと思います。レズ風俗と“バトル”という言葉は、普通に考えると結びつきにくいですよね。何を、どう、争うんだろうと不思議に思うはずです。 ひと言で表すと「レズプレイの勝敗を決める勝負プレイ」なのですが、これでもまだ意味がわかりませんよね(笑)。 レズバトル鑑賞コースは、レズ鑑賞クラブティアラ大阪店、東京店でのみご利用できるサービスです。 * * * キャスト同士が相手をイカせようと激しいプレイを展開するのを、お客様に鑑賞していただきます。タチもネコも関係なく、お互いが積極的に攻め合い、イカせ合うんです。バトルというだけあって勝敗があり、それを決めるのはお客様です……と説明すると、想像がつくでしょうか。 私にとってこのコースは、ある意味“拷問”です。 なぜなら、絶頂したら負けだからです。 イキたいけど、我慢する。 そんな時間が、長くつづきます。 新人もベテランも関係なく、お互いをイカせようとします。凄腕キャストとのお手合わせでは、悶えっぱなしになるのです。 負けたくない、というよりは、あっさりイッてしまうようでは、鑑賞されているお客様がぜんぜん面白くないじゃないか! という、こだわりが私にはあります。 この道14年のベテランが、いとも簡単に絶頂に達するというのもアリかもしれません。でもそこに至るまでに、大胆で見応えのあるプレイ、女性同士が絡む美しい姿をたっぷり愉しんでいただきたいと思っています。 「レズ鑑賞コース」でも、キャストのプレイを目の当たりにできますが、こちらはイチャイチャプレイやまったりとしたプレイも多いです。バトルをご希望されるお客様は、熱量の高いハードなプレイを切望されていると感じます。 元をたどれば、レズバトル鑑賞コースはひとりのお客様の発案によってはじまりました。 お客様といっても、その男性は当時のキャストにプレイの魅せ方を指導してくれていたので、私たちは「監督」と呼んでいました。 彼自身が理想とするレズバトルのシナリオを私たちに伝えつつ、細かいニュアンスから表現力、表情に至るまでを指導してくれました。 勉強会はホテルの部屋やベッドの上ばかりで繰り広げられたわけではありません。演劇の舞台やストリップ劇場に連れていってもらったこともあります。横浜のレアなイベントにも行きましたね。 当時のキャストはほとんど卒業してしまいましたが、監督が教えてくれた極意のようなものを、なんらかの形で現役のキャストたちに伝えることが、私の役割のひとつだと思っています。 最近は女性のお客様も増えてきましたが、当初は男性のお客様ばかりでした。どちらかというと年配の方が多いです。 絵描き、アニメーター、映像関係のお仕事、小説家……などいろんな職業の方がいらっしゃいました。新聞広告で見て知った方もいらっしゃれば、いろんな風俗で遊ばれて「何か面白いものはないか」と探していて見つけた、という方もいます。接待として、このコースをおごってもらった、というお話を聞いたこともあります。 どんな経緯で来られたにしても、私たちがお見せするのは本物のプレイです。 バトルコースがはじまった当初は、とても不安でした。どう見せればいいんだろう? むずかしいなぁ、と悩んだものです。勝敗を決められるってことにも、なんとなく抵抗もありました。 でも、いまでは気にならなくなりました 深く考えても、しょうがないところがあるんです。なぜなら、相手のキャストさんによってまったく違うし、思いもかけないことが起きることも多いからです。 自分の感覚を研ぎ澄まし、目の前のキャストさんに全力で気持ちよくなってもらえればいいのだとわかりました。そうしたら、彼女はどんな返事をくれるだろう? ただそれを、待てばいいんだ、と。 その会話が密なものになれば、バトルはどこまでも濃厚で、リアルなものになります。 90分のレズバトルコース、一秒も嘘のない空間がそこにはあります。 ……つづきは、また次の夜にここで逢ってお話しましょう。

【ゆう プロフィール】永田カビ著『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(イースト・プレス)のモデルになった現役キャストで、2008年から在籍するベテラン中のベテラン。レズっ娘グループ全店の新人講習スタッフを兼任する。https://tiara.ms/cast/cast.php?no=00025

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