大島渚賞に「海辺の彼女たち」藤元明緒監督

映画界の若くて新しい才能に対して贈られる「第3回 大島渚賞」は9日、ベトナム人女性労働者たちを描く「海辺の彼女たち」が話題を集めた藤元明緒監督(33)受賞者に選出した。4月3日に、東京・丸ビルホールで記念上映会が実施される。

記念上映会では、「海辺の彼女たち」と大島渚監督「絞死刑」(1968年)を上映。その後には、藤元明緒監督、黒沢清氏、大島新氏、MC役の荒木啓子氏によるトークショーを行う。

藤元監督は1988年、大阪府生まれ。ビジュアルアーツ専門学校大阪で映画制作を学ぶ。在日ミャンマー人家族を描く初長編「僕の帰る場所」(2018年)が東京国際映画祭をはじめ33の国際映画祭で上映。21年、日本で働くベトナム人技能実習生を描く長編第二作「海辺の彼女たち」を公開。同作品で21年度「新藤兼人賞」金賞、TAMA映画賞最優秀新進監督賞など多数の映画賞を受賞。新作短編「白骨街道 ACT1」が、4月に特集企画「映画を観て、ミャンマーを知る Vol.2」の上映作品として劇場公開される。

藤元明緒監督
映画「海辺の彼女たち」(監督:藤元明緒)より
映画「絞死刑」(監督:大島渚)より

同賞はPFF(ぴあフィルムフェスティバル)が2019年に創設し、「日本で活躍する映画監督(劇場公開作3本程度)」、「原則として前年に発表された作品がある」監督を選考対象とし、大島渚監督作品を知る世界各国の映画人より推薦を募り、審査員が授賞者を決定する。第1回は、「鉱 ARAGANE」「セノーテ」が世界各国で高い評価を受けるなど、次々に新たな作品を生み出している小田香監督が受賞。昨年の第2回は「該当者なし」だった。審査員長は音楽家の坂本龍一氏、審査員は映画監督の黒沢清氏、PFFディレクターの荒木啓子氏。

(よろず~ニュース編集部)

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