中日根尾の「外野手登録」が意味する正念場 打たなきゃ居場所なくなる危機に

中日・根尾昂【写真:小西亮】

“打てる選手は外野へ”新生ドラゴンズの方針、生き残りへ打撃開眼が急務

中日・根尾昂の守備位置登録が内野手から外野手に変更された。昨秋から外野一本で勝負する方針だっただけに、現実に即した形に。一貫して遊撃へのこだわりを口にしてきた21歳にとっては、ひとつの区切りにもなる。当の外野争いではアピール合戦が続いており、名実ともに“打たなければ道は開けない”状況になっている。

3年目の昨季はキャンプから遊撃での定位置奪取を宣言。ただ、レギュラー京田陽太との実力差はなかなか埋まらず、好調だった打撃優先で左翼での開幕スタメンをつかんだ。シーズンに入るとバットでの課題が露見し、東京五輪での中断明けは主に2軍暮らしが続いた。

打撃開眼は今季も最優先テーマに。立浪和義監督もキャンプでは「早く自分の形を作ってほしい」と求めていた。オープン戦に入ってから快音は出ているものの、ライバルたちの存在感が強いのが事実。特に右翼を争う岡林勇希はここまで8試合に出場して打率3割超。リードオフマンを担いそうな勢いだ。

高卒3年目の岡林は根尾の1学年下。一発はないものの、卓越した打撃センスは指揮官も認めるところ。チーム関係者から「根尾や石川昂のドラ1コンビより早くブレークするかもしれない」との声も上がっていた有望株で、足があるのも強み。シーズンに入ってからも一定の成績を残すことができれば、一気に右翼レギュラーを掴む可能性もある。33歳の平田良介も9日の2軍戦で1号を放っており、虎視淡々と開幕を見据えている。

左翼には長距離砲がしのぎを削る、中堅は不動のベテラン大島

一方の左翼は、長打のある候補者たちがしのぎを削っている。昨季まで二塁のレギュラーだった阿部寿樹やドラフト2位ルーキーの鵜飼航丞、捕手登録の山下斐紹はそれぞれオープン戦でアーチを放っている。昨季チームは12球団ワーストの69本塁打と苦しんだだけに、長距離砲はラインナップに欠かせない。

中堅のベテラン大島洋平は不動の存在。となると、根尾の現実的な勝負ポジションはやはり右翼になってくる。待ったなしで岡林を上回らなければ、ベンチないしは2軍行きという処遇も現実味を帯びてくる。現にオープン戦では試合途中から代走で出場し、1、2打席もらうという起用も少なくない。

“打てる選手は外野へ”という方針が鮮明に打ち出されている新生ドラゴンズ。内野のポジションが現時点で埋まっている中、根尾も“打てる選手”のひとりに数えられている。反面、打たなければ居場所はない。「外野手」の肩書きは、その象徴とも言える。(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2