IT企業の「ニジボックス」 来月、長崎に新拠点 県や長崎市と立地協定 オンラインサービス企画開発

 県と長崎市とIT企業のニジボックス(東京、入江翔平社長兼CEO)は9日、同社の新たな拠点「長崎サテライトオフィス」を長崎市内に開設する立地協定を締結したと発表した。同社は4月1日から業務を開始し、開設後3年間で16人を採用する計画。
 同社は2010年設立。リクルートが100%出資し、デジタルマーケティング事業などを展開する。東京本社以外の拠点開設は今回が初めて。
 長崎サテライトオフィスは、長崎市万才町のリクルート長崎オフィス(長崎朝日ビル)内に設置。オンラインサービスの企画、制作、開発のフロントエンジニアリング業務(ウェブサイトで利用者が直接目にする部分の開発)を担う。

 新型コロナウイルス禍のため、3者による立地協定調印式は実施せず、9日、書面で締結。大石賢吾知事は「若い世代に魅力的な仕事の場の創出を目指す本県にとって大変ありがたい」、田上富久市長は「新しい働き方の先行事例としてUIターンの推進への貢献に期待している」とコメントをそれぞれ発表した。

 ■未経験者じっくり育成・入江社長/Uターン促す立役者に・落合部長

(写真右から)入江翔平社長兼CEO、 落合慶彦部長(いずれもニジボックス提供)

 ニジボックスの入江翔平社長兼CEO(39)と長崎オフィスを統括する落合慶彦クライアントソリューション部長(36)=長崎市出身=に進出理由などを聞いた。

 -長崎進出の理由は。
 入江 他社の経験を聞くと、行政と連携した採用基盤の構築と、意志のある人が現場でかじ取りすることが人材定着に重要だと分かった。長崎県産業振興財団への相談を通じて、採用支援などで行政と強く連携できると判断した。

 -現場のかじ取り役が長崎市出身の落合部長。
 入江 これまで会社の事業成功に貢献してきた人材。地元への熱い思いを持ち、組織を立ち上げ、マネジメントできるという両方の要件を満たしている点で、成功に導くことができる。

 -古里で働く思いは。
 落合 県立長崎北高校出身。東京で仕事を成し遂げ、長崎で働くことは、まだ先だと思っていた。現在、オンラインで業務できる環境があり、子育て環境も良い。県外で働く長崎出身者のUターンを促進する立役者になりたい。東京の給与水準と同程度であることも、わが社の魅力。

 -具体的な業務と求める人材は。
 入江 グループ会社のリクルートが運営する結婚情報総合サイト「ゼクシィ」、旅行予約サイト「じゃらんnet」などのウェブプロダクトを制作する。未経験者をじっくり育成する。成長意欲や課題解決力があり、東京本社とオンラインで連携して仕事するため、コミュニケーション力が高い人が理想。

 -地域との連携は。
 入江 日本全体でIT人材が枯渇している。ウェブ開発技術を持つ人材を増やし、地域活性化に貢献できるだろう。地元の大学に学生の学びの機会を提供できたら、東京の仕事を長崎に居ながらできる働き方を知ってもらえるだろう。


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