海辺の城、温泉、世界遺産。城下町・萩市で楽しむ絶景と歴史の旅

山口県の城下町「萩市」の魅力

西日本の山口県は、海辺に並ぶ無数の鳥居で有名な「元乃隅神社(もとのすみじんじゃ)」、神秘的な「秋芳洞」、江戸時代に作られた木造橋「錦帯橋」などの美しい観光スポットで知られています。

数ある山口県のスポットのなかでも歴史的な街並みで知られるのが、日本海に面した城下町「萩市」です。

萩では海の絶景を眺めて城下町散策をし、温泉に浸かって旅の疲れを取ることもできます。日本文化を楽しむ1泊2日の旅はいかがでしょう?

本記事では、萩のオススメの観光スポットをモデルコースとして紹介します。

【1日目】城下町散策と地元のグルメを満喫!

広島や福岡から朝に出発すれば、昼前に萩に到着します。1日目はまず、歴史スポットの「萩城跡指月(しづき)公園」を訪れましょう。次に海辺の景色を眺め、城下町へ。グルメスポットやオススメの宿も紹介します!

海辺に築かれた「萩城(指月城)」の城跡

萩城」は、戦国大名・毛利輝元(もうりてるもと)が1604年に築きました。海辺の指月山に建てられていることから別名「指月城」とも。

城の詰丸は指月山の山頂にあり、海から攻めてくる敵を監視できたほか、城主の最後の砦としての役割もありました。

現在は天守閣の土台や中堀、内堀などが残っており、「萩城跡指月公園」として整備されています。萩の桜の名所としても有名です。

城の歴史や構造について詳しく知りたい方は、城下町の「萩博物館」に立ち寄ってみてください。

海の絶景が楽しめる菊ヶ浜

城下町に向かう前に、菊ヶ浜に向かいましょう。白い砂浜と青い海、森に覆われた指月山も見える景勝地です。

城の二の丸があった指月山は長い間、庶民の立ち入りが禁じられていたことから、400年手つかずの原生林が残っています。今日、この原生林は国の天然記念物に指定され、トレッキングスポットとして地元の人に親しまれているそう。

ふもとから山頂までは15~20分ほど。ハイキングを楽しんでみては?

城下町を散策して江戸時代へタイムスリップ!

海辺の景色を満喫したら城下町へ。人気のスポットを紹介します!

古民家カフェ「ホトリテイ」でランチ

散策前にまず腹ごしらえ。オススメの昼食スポットは古民家カフェ「ホトリテイ」です。地元の食材を使ったワンプレートランチや喫茶メニューが楽しめます。

カフェには枯山水(※1)の庭園も。季節ごとに移りゆく景色を眺めながら、ゆったりとした時間が過ごせます。

着物で写真撮影

散策中に着物を着てみたい方は「キモノスタイルカフェ」へ。

美しい着物の中から好きなものを選んで、店のスタッフに着付けをしてもらえます(3,980円、WEB予約は2日前まで)。プロのカメラマンに撮影してもらえるオプションも人気。

城下町の見どころ

城下町らしい雰囲気のスポットを紹介しましょう。

ひとつ目は国指定重要文化財の「菊屋家住宅」。江戸時代に藩の御用商人だった菊屋家の住宅です。館内には古美術品が展示され、商人の粋な暮らしを窺い知ることができます。

菊屋家住宅の脇、「菊屋横町」にも江戸時代の面影が残っています。「国指定史跡」と「日本の道100選」選ばれた景観は、写真撮影にぴったり。

ふたつ目の見どころは「高杉晋作誕生地」です。

高杉晋作(たかすぎ しんさく、1839-1867)は、萩藩大組士であった高杉小忠太の長男として生まれました。1862年、清国(現在の上海)を視察し、幕府による政治に危機感を覚えた高杉。

帰国後に身分を問わない軍隊組織「奇兵隊」を形成し、いくつかの内乱で活躍しました。奇兵隊は武士の特権だった武力のあり方を変える革新的なものでした。

「萩博物館」の高杉晋作資料室に高杉についての展示があります。興味のある方はこちらも訪れてみるとよいでしょう。

高杉晋作と同様に幕府政権の終焉を感じ、日本の近代化に向けて力を尽くした木戸孝允(きど たかよし、1833-1877)も萩市生まれ。

明治維新(※2)で重要な役割を果たした木戸は、生まれてから江戸に出るまでの約20年間を「木戸孝允旧宅」で過ごしました。

木造瓦葺の2F建ての家には写真や所蔵品を展示。幼少時代の木戸による手習いの書などもあり、当時の武士階級の暮らしが垣間見えます。

萩城下町にはほかにも魅力的な横町や建造物が多数。また、質素な美しさで知られる萩焼など、地元のおみやげが購入できるお店もありますよ!

ゆっくりと散策してお気に入りの店やスポットを見つけてください。

「源泉の宿 萩本陣」で疲れを癒す

1日目は「萩温泉 源泉の宿 萩本陣」に宿泊しましょう。地下2000メートルから汲み上げる温泉、日本海の海の幸をふんだんに使った会席料理が自慢の宿です。客室は和室と洋室から選べます。

【2日目】明治維新にまつわるスポットへ

江戸から明治への転換期を見守ったスポットが萩にはまだまだあります。

「金谷天満宮」の境内を散策

2日目は萩城下の入り口にある「金谷天満宮」からスタート。御祭神は学問の神様・菅原道真公で、1720年に現在の場所に移されました。

大門と太鼓橋の美しい組み合わせは、ぜひカメラに収めておきたい景色です!

「萩・明倫学舎」で変革期の日本を知る

萩・明倫学舎」は、2017年に小学校の校舎を改修してオープンした観光施設です。もともと江戸時代に萩藩の教育や人材育成を担った「藩校明倫館」があった場所で、高杉晋作や木戸孝允も出入りしていました。

藩校明倫館の歴史を紹介する展示からは、近代化以前の日本の教育や明治維新がもたらした社会的変化について学ぶことができます。

観光インフォメーションセンターも併設。パンフレットなどここで手に入れるとよいでしょう。

明治維新の志士たちが生まれた「松下村塾」

松下村塾」は明治維新の志士たちが学んだ私塾です。江戸時代末を代表する日本の思想家・吉田松陰(1830-1859)もここで教育を受けました。

武士向けの教育機関だった「明倫館」に対し、「松下村塾」は身分を問わずに門下生を募りました。

1857年から没年の1859年まで、吉田松陰は「松下村塾」の塾頭を務めました。彼を祀る「松陰神社」のほか、松陰ゆかりの史跡も境内に点在しています。

訪れれば、勉学に励む若者たちの姿がありありと思い浮かぶかもしれません。

毛利家の菩提寺「東光寺」

1691年開山の「東光寺」は、萩城を築いた毛利家の菩提寺です。荘厳な造りの総門、三門、鐘楼、大雄宝殿は、国指定重要文化財になっています。

本堂の裏には毛利家墓所があります。藩士が寄進した500余基の石灯籠が立ち並ぶ光景は印象的。

「道の駅 萩しーまーと」でランチ&ショッピング

そろそろお昼時。道の駅「萩しーまーと」へ行きましょう。「萩しーまーと」は漁港に隣接したショッピングスポットで、新鮮な魚介類や農産物、おみやげなどを購入できます。

おみやげには、かまぼこ、海産物、夏みかん、萩名物の「蒸気船まんじゅう」がオススメ。

店内の3つの飲食店ではお寿司や海鮮丼、定食など旬の地魚を使った料理が味わえます。

世界遺産「萩反射炉」も必見

萩を訪れたら、少し足を伸ばして「萩反射炉」へ行ってみるのもよいでしょう。

西洋式の鉄製大砲を作る目的で萩藩が1856年に建設した反射炉の遺構で、世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産のひとつです。

日本海に面した城下町・萩市の旅を満喫しよう!

江戸時代の城下町と「明治日本の産業革命遺産」を誇る萩は、日本の歴史に関心がある方にぜひ訪れてほしい街です。

萩は「椿の街」としても知られています。椿は「ウィンター・ローズ」とも呼ばれ、12月~3月に見ごろを迎えます。市内の「笠山椿群生林」には2万5千本もの藪椿が自生し、冬には椿と日本海の両方の眺めが楽しめます。2~3月の「椿まつり」も必訪です。

魅力あふれる萩での滞在をゆっくりとお楽しみください。

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