「投票所はあっち」と書かれた矢印を持って、街を練り歩く。衆院選・投票所はあっち!プロジェクトの取り組み

「投票率を上げるための取り組みじゃないんです」

2021年10月31日に実施された衆議院議員選挙に関連して、数々の団体が投票啓発活動を行いました。

大きな矢印とステッカーを持って街を練り歩く「投票所はあっち!プロジェクト」もそのひとつ。地域にとどまらず、1都7県15ヶ所で活動があったといいます。

全国で実施された「投票所はあっち!プロジェクト」について、運営メンバーである安彦恵里香氏にお話を伺いました。

>>投票所はあっちプロジェクト 公式webサイト

「投票所はあっち」の活動は、楽しい!

こんにちは、「投票所はあっち!プロジェクト」運営メンバーの安彦恵里香です。

「投票所はあっち」は、投票啓発のためのキャッチコピーが書かれた矢印を持って街を練り歩いたり、矢印を街に貼ったりして、投票に行く人を増やそうという思いで始まったプロジェクトです。

2016年の参院選に始まり、2021年の参院広島再選挙で「投票所はあっちじゃけぇ」がブレイク。同年の衆院選では、私の把握している限りでも1都7県15ヶ所でプロジェクトが実施されました。

矢印を持って練り歩くこの活動、すごく楽しいんですよ。

政治や選挙についてモヤモヤしていても体を動かすとスッキリしますし、矢印を持っていると、「こんにちは!選挙行きましたか?」って自然に声をかけて街の人と対話することができるんです。

投票に行ってくれた人にはステッカーをプレゼントして、一緒に写真を撮って、SNSに載せて……、投票に行った地域の人の可視化もできるんですよね。

選挙に行く人だけでなく、行かない人の意見も聞けますよ。想像ではなく生の声をダイレクトに聞けることが面白いポイントですね。

今回は活動場所が全国だったので、みんなそれぞれのやりかたで「投票所はあっち」を広めていました。

街を練り歩く以外にも、ショッピングモールの車に矢印を貼ったり、デザインコースの大学生が住んでいるエリアに矢印を貼ったりと。

やりかたが違えば反響も違いますが、取り組んでくれた人の多くは「楽しかった!」と言ってくれました!

投票率向上から権利意識へ、目的の変遷

実は、「投票所はあっち!プロジェクト」の目的は投票率向上ではないんです。

2016年当初こそ投票率向上を目的に行ったこのプロジェクトですが、月に1度のミーティングを重ねて「私たちは私たちの権利を手放さないんだ」ということを表明する、確認するプロジェクトへと変わっていきました。

「投票所はあっち」は、自分の権利を手放さない!自分はここにいる!という楽しい意思表明です。どこの政党がどんな考え方かを教える前に、権利意識を育てていくことが大切だと思っています。

また、政治利用しない・されないという点も重要です。個人の思想はもちろん自由ですが、矢印を持っているときは政党の色がつかないようにしていただいています。

私たちの多数決民主主義は、困っていない多数派の中にいれば安心だと思いこませていて、自分が少数派で困った時にはどうしたらいいかわからない不安が強くあります。

右でも左でも上でも下でもない、自分そのものでいられる成熟した社会に生きたい。

そのために、選挙があろうがなかろうが、普段から社会問題を自分の問題として関わり解決していく必要があると思います。

仲間で集まり、小さな単位で相談を繰り返し、世に問うていくような。

誰かを馬鹿にしたり、誰かから馬鹿にされたりしないで、自分たちの問題を自分たちで解決できる力があると心の底から信じられるようにしたいです。

自分の権利を大事に、誰もが自分らしく、不条理に抑圧をされず、いのちを奪われない。そんな日本社会の実現のための活動のひとつとして、今後も「投票所はあっち」を実施していきます。

「自分はここにいる」と表明する人が増えていくことで、社会が少しずつでも良くなっていくことを願っています。

安彦恵里香氏プロフィール

1978年茨城県生まれ、広島市在住14年。建築不動産会社、国際NGOピースボートスタッフを経て広島に移住。2011年核兵器を捉え直すアートブック『NOW!」を制作・発刊したProjectNOW!代表。ITの力で課題を解決するCode for Hiroshima共同代表。「ひろしまジン大学」の授業コーディネーターとして、約20授業を企画。2017年「社会とつながること」がテーマのSocial Book Cafeハチドリ舎をオープンし、毎月約30〜40の社会問題関連イベントを開催。災害ボランティアセンターの本部運営(広島市安佐北区、常総市、広島市安芸区)にも携わる。「ディスラプター・アウォード・ヒロシマ」「ソーシャルビジネスプランコンテスト」「ヒロシマ平和創造基金国際交流奨励賞」を受賞。NHK中国地方放送番組審議委員。カクワカ広島(核政策を知りたい広島若者有権者の会)発起人、すすめ!核兵器禁止条約プロジェクトメンバー、投票所はあっちプロジェクト運営メンバー、投票所はあっちじゃけぇ発起人。

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