「卒業/尾崎豊」"支配の壁"にもがく若者を俯瞰していた偉大なソングライター

永遠に歳をとらなくなってしまった尾崎豊

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'70~'90のJ-popをメインに毎夜、30曲前後をノーカットで、エピソードや時代背景とともにお届けするSTVラジオ『MUSIC★J』(RCCラジオ生ネット)。ナビゲーターは松崎真人です。3月は卒業シーズンでもあります。この時期、耳にすることも多い、この曲をフィーチャーします。

M23「卒業/尾崎豊」

松崎:尾崎豊さん…まぁ、尾崎と呼んでしまいたくなるんだけどね、同世代なので。「卒業」ですけど、どうしても(歌詞の)「♪夜の校舎 窓ガラス壊してまわった」のところにみんな、引っかかるんだよね。そこに引っかかっちゃって、他のもっと大事なところを読み飛ばしてしまうのは何でかなと思うんです。たぶんそれは、尾崎豊という人は多分、この歌の登場人物ではないと思うんですよ。意外と、もっとそういう同時代の若者を俯瞰で見ている。

松崎:なぜかと言うと、彼(尾崎豊)はもうこの時、ショウ・ビジネスの世界で生きていて、何億というお金の渦巻く世界に揉まれて、スケジュールに追われて生きていたわけで、そこでこの曲を書くわけだよね。だから、この支配(ショウ・ビズ世界)からの卒業って言うのは、その先にもう1個、別の支配の構造があって、そこをまた抜け出したと思ったら、また別の支配の構造があってと言う、そういう入れ子構造(※)になっていると言うことは多分、当時の尾崎さんはもう判っていた。

松崎:判っていたけど、でも今、目の前の壁にもがいている人に対して「この支配からの卒業」というフレーズを贈った、と僕は最近、思うようになりました。本当に偉大なソングライターだったと思うし、生きて欲しかったと思いますね。

<編集後記>
「卒業/尾崎豊」 1980年代のある小雨の午後。渋谷の駅前で反核団体が募金を行っていた。ジーパンに黒いロングコートの青年がポケットの小銭を箱に入れて、小走りで交差点を去っていった。「あれ?尾崎豊じゃない?」と団体メンバーの一人が言った。彼は紛れもなく、黒い大きいサングラスをかけた尾崎豊だった。尾崎にまつわるあまたのエピソードの中で、僕がいちばん好きなのがこれ。(松崎 真人)

※入れ子構造:例えば「マトリョーシカ」のように、ひとつの世界や構造、物語の中に、また同じような世界や構造が次々と現れる状態のこと。劇中劇なども入れ子構造のひとつ。

3月4日(金)のプレイリスト~ 春、卒業、そして平和…選曲の裏テーマを感じて欲しい

M01「B・BLUE/BOØWY」
M02「Fallin’ Angel 〜嘆きの天使〜/PERSONZ」
M03「春ラ!ラ!ラ!/石野真子」
M04「春一番/キャンディーズ」
M05「音楽のような風/EPO」
M06「フリフリ/ザ・スパイダース」
M07「恋をしようよジェニー/ザ・カーナビーツ」
M08「プカプカ/西岡恭蔵」
M09「アフリカの月/大塚まさじ」
M10「サーカスにはピエロが/ザ・ディランII」

M11「はだかの王様〜シブトクつよく〜/SMAP」
M12「月と専制君主/佐野元春」
M13「Russians/Sting」
M14「家族の風景/ハナレグミ」
M15「Perfect/Fairground Attraction」
M16「ペッパー警部/ピンク・レディー」
M17「乾杯!お嬢さん/ピンク・レディー」
M18「アリよさらば/矢沢永吉」
M19「サクラ色/アンジェラ・アキ」

M20「朝日のあたる道-AS TIME GOES BY-/ORIGINAL LOVE」
M21「ネオ・ブラボー!!/サザンオールスターズ」
M22「LOVE SONG/TOM★CAT」
M23「卒業/尾崎豊」
M24「僕と彼女と週末に/浜田省吾」
M25「ダンスフロア/松崎真人」
M26「あなたにサラダ/DREAMS COME TRUE」

STVラジオ『MUSIC☆J』(毎週 火~金 19:00~22:00) ★RCCラジオ生ネット

MUSIC★J

放送局:STVラジオ 他1局ネット

放送日時:毎週火曜~金曜 19時00分~22時00分
※放送局によって日時が異なる場合があります。

出演者:松崎真人(まつざき・まこと):シンガーソングライター、選曲家。北海道札幌市出身。1984年ヤマハポピュラーソングコンテストで優秀賞を受賞し、85年「たわいないトワイライト」でデビュー。92年、佐木伸誘とユニット「Birthday Suit」結成。現在はソロでラジオパーソナリティやライブを中心に活躍中。

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★リクエストメール:mj@stv.jp
★twitterハッシュタグ:#musicj
70年代~90年代の日本のポップス・日本語のポップスを中心に"厳選かけ流し"でお届け。J-popの源流を築いた往年の名曲を毎日30曲前後も紹介するパワー・プログラム。いまの10代~20代にも聴いて欲しい、日本の音楽がわかる番組!ブームの"シティ・ポップ"、その源流や背景、エピソードは「MJ」の最も得意なフィールドです。

パーソナリティは、北海道出身のシンガーソングライター・松崎真人。音楽への深い造詣と知識に裏打ちされた含蓄あるトーク、選曲の幅広さでリスナーの支持を全国に広げている。
☆広島・RCCラジオでも同時生放送(~21:50)

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