広島発で国内初「避難保険」って何だ?

「避難保険」ってご存じでしょうか。

災害時の避難に特化した保険で、自力での避難が難しい人が避難するときにかかる費用を補償するものです。

大雨災害を経験している広島から生まれたものなんです。

災害大国ニッポン、しかし人々の避難率は高くありません。

ウェザーニューズが2018年に行った西日本豪雨に関する調査では、約8割が「避難すべき状況はあったがしなかった」と回答しています。

高齢者が多く避難するための交通手段が乏しい地域もあります。

「避難したいのにできない」こうした課題を解決する糸口になるかもしれない新しい手段が登場しました。それが「避難保険」!

発案したのは防災マーケティングを研究する県立広島大学の江戸克栄教授です。

江戸教授「現在避難率がなかなか上がっていない中で、住民の方々にいかに避難してもらうか考えてもらうための保険です」

一緒に考案した大手保険会社あいおいニッセイ同和損保が去年10月に発売しました。

いったいどういう保険なのでしょうか?

江戸教授「交通の便が悪い、交通手段がないというような方々に対して、じゃあタクシーだとかの負担がある、それで避難をしないという判断があります。そういう判断をしていただかないようにというのが最大のポイント」

自治体が加入して保険会社に保険料を支払うことで、住民が避難するときのタクシー代などを保険会社が負担してくれるという仕組みです。

高齢者など自力での避難が難しい人向けで、自治体から避難の指示があった場合、事前に登録した避難者のもとへ提携したタクシーが迎えに行き、避難施設まで送迎してくれるという形が想定されます。

江戸教授「高齢者、あるいは要支援者の方々の移動手段をどういうふうに確保していくかと。それが自治体などが保険に入ることによってカバーをされていくということになります」

この保険で賄われるのは移動手段だけではありません。

江戸教授「避難所に行けないというような場合にもホテルを代わりに代替するだとか、そういった負担も併せてやれればというところであります」

一方でこの保険は台風や大雨など予測できる災害から事前に避難することを想定しているため、突然起きる地震や噴火、津波は対象外になっています。

去年10月に発売されてからこれまでにおよそ40の自治体が加入を検討しているということです。

江戸教授「タクシー会社あるいは宿泊施設先、あるいは各自治体の社協だとか、そういったものと連携をしながらこの保険といったものを活用していただくことによって、いわゆる災害死者、逃げ遅れの方々をゼロにしていくということが現実的になっていくのではと思います」

© 広島ホームテレビ