強制不妊訴訟、国の上告を疑問視 立民・阿部氏「同じ過ち、繰り返すことに」

阿部知子氏

 立憲民主党の阿部知子氏(衆院神奈川12区)は11日の衆院厚生労働委員会で、障害者らが不妊手術を強いられた旧優生保護法の規定を違憲とし、国に初めて賠償を命じた大阪高裁判決を不服として上告した国の姿勢を疑問視した。

 「通告外のことで一つ質問がある」。冒頭、阿部氏は事前通告している質問に入らず、そう切り出した。

 先月22日の大阪高裁判決は、国に対する損害賠償請求権が20年で消滅する「除斥期間」を当てはめると「著しく正義、公平に反する」として適用しなかった。国は「法律の解釈に重大な問題がある」として、今月7日に最高裁に上告した。

 こうした経緯を踏まえ、阿部氏は「差別や偏見を受け続けてきた障害者らが自身への不法な手術に、20年で声を上げられなかった深刻な状況がある。それを指摘したのが高裁判決ではないのか」と訴え、後藤茂之厚労相に答弁を求めた。

 後藤氏は原告らに謝罪した上で、高裁判決を「除斥期間の法律上の解釈・適用について重大な問題も含んでいる」と説明。「別の高裁判決も予定されており、最高裁の判断を仰ぐことにした」などと述べた。

 阿部氏は、2016年に津久井やまゆり園で起きた障害者殺傷事件に触れつつ「障害者への差別や偏見はまだまだ根深い。(旧法は)通常の除斥期間とは異なる側面をはらんでいる。それを自覚しなければ、同じ過ちを繰り返すことになる」と注文をつけた。

 東京高裁は同日、旧法を「違憲」と判断。大阪高裁判決に続き、国に対して賠償を命じる判決を出した。

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