静岡県がブラジル日系人向けPR動画「シズオカ・ノワール」公開=県内の魅力織り込んだ探偵ドラマ

動画の一場面。ブラジルの輸入雑貨や食品を取り扱うセルヴィツー。

 静岡県はブラジル人向けに同県をPRする短編ドラマ動画「SHIZUOKA NOIR 黒い羽衣の女を追え」を静岡県地域外交課のユーチューブチャンネル上に4日、公開した。
 動画は前後編各10分。物語は静岡県内で探偵業を営む丸の元に「日系伯人女性が失踪したから探してほしい」という依頼が舞い込むところから始まる。丸は過去に伯国で探偵修行をし、現在は伯国雑貨食品輸入店セルヴィツーの倉庫を間借りして住んでいるという設定。失踪女性の情報を求め県内を巡る中で、観光地や名物料理、企業が実名で登場し、その魅力が紹介される。
 監督、脚本、編集に羽野暢、プロデューサーに仲島カルロス、エグゼクティブ・プロデューサーに小林大祐、翻訳に藤永英明カルロスを起用した。動画公開にあたって小林さんは「伯国人向けの県広報動画の先駆けになれたら」とコメントを寄せている。
 4月以降に県庁とブラジル静岡県人会で今回の動画を用いた広報企画も検討中だという。
 各動画の公開URLは次のとおり。

▼前編「失踪篇」(https://youtu.be/kNe9pBN2THg

▼後編は「解決篇」(https://youtu.be/4WwliD-aTmc

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丸が間借りする部屋のドアにぶら下がっているネームプレート

 「SHIZUOKA NOIR 黒い羽衣の女を追え」には、マニアックな小ネタが各所にちりばめられている。
 わかりやすい所で言えば、エンディング曲の前後に「Vamos Fuji(富士山に行こう)」という言葉が出てくるが、これはブラジルの人気バンド「スカンク(Skank)」のヒット曲「Vamos Fujir」をもじったもの。
 その他にも様々な小ネタがあるのだが、ルッパ子が気になっているのは、丸の部屋のドアに掛けられた不在を知らせるメッセージ「隣ノ喫茶ニ居リマス」だ。
 これは小説家の宮沢賢治が自身の私塾「羅須地人協会」の玄関に置いた伝言メモ「下ノ畑ニ居リマス」が元ネタとなっている。
 宮沢賢治と静岡県の関りを調べてみると、妹トシが感染症で亡くなった際、分骨して静岡県に本部がある法華・日蓮系教団に納骨手続きをしたという縁があるという。
 探偵の丸よろしく、この「謎」の答えを推理すれば、宮沢賢治は農業指導にその生涯を捧げた人物としても有名。このことから、宮沢賢治を出してきたのは「伯国へ渡り苦労した初期農業移民の存在からの連想」とルッパ子は推理した。
 果たしてこの推理が正しいかは全く分からないが、皆さんも本ドラマで静岡県を動画観光しながら、マニアックな小ネタ探しに興じてみて欲しい。

 

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