なぜ鷹はレイに「出戻り」をオファーした? 両者の間にあった“深い愛”

再入団会見を行ったソフトバンクのコリン・レイ【写真:球団提供】

昨季途中で退団となったが、レイも球団もやむを得ない決断だった

11日にオンラインで再入団会見を行ったソフトバンクのコリン・レイ投手。昨季途中まで在籍しながら家庭の事情で退団することになったものの、今季、改めてホークスに復帰することになった。なぜソフトバンクは再オファーを出し、レイは再び日本に戻ってくることを決めたか。そこには両者の間にある“深い愛”があった。

昨季、新助っ人としてソフトバンクに入団したレイ。コロナ禍で来日が遅れため、1軍初登板は6月3日になってからだった。ただ、そこから前半戦終了までに6試合に登板。3勝1敗、防御率2.03の好成績をマークしていた。だが、昨年はコロナ禍で入国制限が敷かれ、家族が来日できず。レイも単身で来日していた。

前半戦が終わり、東京五輪の中断期間に入った頃、夫人が早産で出産。家族を最優先に考えたレイは米国に残り、家族の側にいることを望んだ。球団側も事情を考慮して退団を認め、契約を解除した。自由契約となったレイはブルワーズとマイナー契約を結び、残りのシーズンをプレーした。

事情が事情だっただけに、双方やむなく退団という道を歩まざるを得なかった。ただ、レイはこの時、球団を通じて「しばらくは家族のそばから離れることができない状況になりました。もし、今後またホークスでプレーする機会があれば、喜んでまたみんなと一緒にプレーしたいと思います」とコメントしていた。レイの中で球団に対する愛はとても深いものだった。

三笠GM「素晴らしい投球を高く評価していた」

そして、それは球団側も同じ。会見に同席した三笠杉彦GMは「事情があって帰国しましたけど、素晴らしい投球を高く評価していた。日本の野球、ホークスへの強い思いはありがたく、素晴らしいと感じていた。今シーズンに臨むにあたって『どうか?』と話をした」と経緯を明かした。レイ本人が望むのであれば、戻ってきてもらいたいと考えていた。

入国制限が緩和され、家族の来日も可能に。レイ自身も「他の球団に行く選択は全くなかった。簡単な決断でした」と明かすように即決だったようで「福岡、ホークスが好きで気に入っていた。去年はあまり外には出られなかったけど、家族で来ているので、桜を見に行ったり、海に行ったり、探検したいと思っているよ。ホークスはチームメートが素晴らしいし、笑顔で接してくれ、尊敬してくれるのを感じている。居心地がいいチームだ」と愛着を口にしていた。

「個人的な目標としては先発として投げる試合は長いイニングを投げる。チーム全体としては昨年悔しい思いをしているので日本一。投げる時は勝てるようにして日本一に貢献できるようにしたい」と意気込みを口にしていたレイ。両者の“愛”が引き寄せた復帰。頼もしき右腕がV奪還の使者になる。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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