還暦おめでとう!ダイアモンド☆ユカイ率いるレッド・ウォーリアーズ35周年ライブ ビートルズ「アイ・アム・ザ・ウォルラス」のカヴァーは、オアシスよりも早かった!

レッド・ウォーリアーズ、35周年記念ライヴ最後にビートルズをカヴァー

「アイ・アム・ザ・ウォルラス!」

ダイアモンド✡ユカイが高らかにアンコール2曲めの曲名を叫ぶ。一瞬耳を疑った。ビートルズのこの曲のカヴァーでライヴを締め括るなんてオアシスみたいじゃないか… 否、オアシスより早かったんじゃないか!?

去る2月20日、僕は中野サンプラザで開催された、レッド・ウォーリアーズ(以降RED’Sと略)の35周年記念ライヴ、RED WARRIORS 35th Anniversary 『Lesson 1&Casino Drive』を観る機会に恵まれた。1986年と87年にリリースされた彼等のファーストとセカンドアルバムの全曲再現ライヴだったのだが、アンコールは “アウトテイク” ということでアルバムに収められなかった2曲が披露された。その殿(しんがり)を担ったのが何と「アイ・アム・ザ・ウォルラス」。僕がRED’Sを生で観たのは実はこれが初めてだったのだが、大いに先入観をひっくり返されることになったのだった。

オアシスよりも早かったビートルズのカヴァー

レッド・ウォーリアーズは1985年、レベッカの創設者でありこの年に脱退した木暮武彦(ギター。通称:シャケ)と、田所豊(ヴォーカル。後のダイアモンド✡ユカイ)を中心に結成された。西武球場や日本武道館でのライヴを成功させるも1989年に一度解散。その後何回か再結成を繰り返し、2007年以降は散発的にライヴを行うようになっている。ドラムスの元レベッカ、小沼達也だけが1989年の解散をもってバンドを離れたが、ベースの小川キヨシを含む残り3人はオリジナルのままだ。

「アイ・アム・ザ・ウォルラス」はザ・ビートルズの1967年のシングル「ハロー・グッドバイ」のB面に収められ、同年末放映のテレビ映画『マジカル・ミステリー・ツアー』でも使用されたジョン・レノン作のヘヴィなサイケデリック・ロック。ジョンのお気に入りだったらしくファンの間でも人気が高いが、ビートルズもジョンもライヴで披露したことはなく、メジャーな曲とは言い難い。

RED’Sは1987年のセカンドアルバム『CASINO DRIVE』からの先行シングルであり代表曲の1つ「バラとワイン」のカップリングでこの曲をカヴァーしている。初期のライヴでのレパートリーでもあったらしい。

そして90年代から2000年代にかけてビートルズの再来とも言われ世界を席巻したイギリスのバンド、オアシスもコンサートの最後を「アイ・アム・ザ・ウォルラス」のカヴァーで締め括ることが多く、バンドの解散までそれは続いた。

しかし「アイ・アム・ザ・ウォルラス」のカヴァーという点では、明らかにRED’Sの方がオアシスより早かった。寡聞にして僕はこの日まで全く知らず、ビートルズファンとして抜かりがあったと思わざるを得なかった。

自分の声で歌い上げたダイアモンド✡ユカイのミュージシャンシップ

それほどにRED’Sの「アイ・アム・ザ・ウォルラス」はオリジナルのうねり、重さをきちんと表現していて聴き応えがあった。

近年、リーダーを務めるピンク・フロイドのカヴァーユニット、原始神母がその再現性で高い評価を獲得しているシャケは、このカヴァーでも卓越したギタープレイでその再現性をいかんなく発揮している。同じく原始神母にも参加している長年のRED’Sのサポートキーボーディスト、三国義貴の貢献も見逃すわけにはいかない。

ベースの小川キヨシの確かなプレイにも舌を巻いた。今では音楽業がメインではないらしいが信じられない。サポートドラマー西川貴博と、見事にうねる重いビートを作り上げていた。

そしてダイアモンド✡ユカイ。正直に言ってヴァラエティタレントのイメージが強かったのだが、この難曲に正面から向き合って、コピーではなく自分の声で堂々と歌い上げていた。ちなみに他の曲ではアコギやブルースハープ、マラカスといった楽器を、ヴォーカリストの余技ではないレベルできちんと鳴らし、バンドサウンドの構築にも寄与していた。ユカイの豊かなミュージシャンシップに触れられたことはこの日の大きな収穫の一つであった。

ジョン・レノンに捧げられた「John」も必聴

『CASINO DRIVE』の中にはユカイ作詞、シャケ作曲の「John」という、ジョン・レノンへ捧げられたアコースティックなアップミドルテンポのナンバーも収められていて、この日ももちろん披露された。

 ニューヨークの夜に銃声が響いて
 悲しみのベールが世界中を
 You’ve changed my world

些か生硬な歌詞ではあるが、「アイ・アム・ザ・ウォルラス」のカヴァー然り、レッド・ウォーリアーズはロックの先達へのリスペクトを率直に表すバンドであったのだ。このピュアネスこそが、レベッカでは表現出来なかったのかもしれない。

レベッカでは出せない音を出したいとシャケが結成したレッド・ウォーリアーズ。“酒と薔薇の日々” 的な歌詞は正直言ってあまり得意ではないのだが、シャケのメロディーメーカーぶりは刮目すべきであり、そのバンドサウンドは、ドライブ感も満点の、硬派なロックンロールであった。中野サンプラザの男性トイレに出来ていた長い列がそのことを雄弁に物語っていた。僕は結成35年にして初めてRED’Sの真の魅力に接したのであった。

ひとこと言いたい

「お見それしました!」

そして最後に今日誕生日のダイアモンド✡ユカイへ、

「還暦おめでとう!」 

このライヴの模様は近日、全編配信されるそうです。Check it!

カタリベ: 宮木宣嗣

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