ブタ胎仔腎臓の移植は拒絶反応が弱い、東京慈恵会医科大学がサルで証明

東京慈恵会医科大学の横尾隆教授らの研究グループは、大日本住友製薬株式会社との共同研究で、ブタ腎臓の移植手術は胎仔の腎臓を用いることで拒絶反応が弱くなることを、世界で初めてサルを用いた実験により証明した。

腎不全などの臓器不全は移植医療により劇的に改善するが、世界的に慢性的なドナー不足で、一般的な治療法となっていない。また、以前からブタを利用した異種移植が注目されていたが、多くの免疫抑制剤管理を行っても長期の維持は難しい。一方、完全にヒトiPS細胞による再生医療も生体で機能をもった実質臓器レベルのものはまだない。

今回、臨床に適用可能な免疫抑制剤を使用し、一匹のサルに、野生型ブタの胎仔腎臓(2 つの腎臓と尿管膀胱を含む複合腎臓)と生後間もない新生仔腎臓の移植を行った。その結果、ブタの新生仔腎臓は約2週間後に拒絶反応による組織傷害が強く見られ、移植腎臓を摘出して死亡を食い止めた。一方、同時移植の胎仔腎臓は、同一のサル体内で 2カ月以上も大きな拒絶反応を起こさず糸球体や尿細管などが発育した。

これにより、ブタ腎臓をサルに移植するには強力な免疫抑制を必要とするが、ブタ胎仔腎臓の場合は臨床に適用可能な免疫抑制でも生着しやすいことを証明した。移植されたブタ胎仔腎臓がサルの体の中で育つ過程でホストであるサルの血管が入り込み生育することが分かった。

研究グループは、柔らかいブタ胎仔腎臓原器を腹腔鏡で安全に移植できるデバイス開発や、移植し発育した膀胱とホストの尿管をつなぐハイブリッドステントの開発に成功しており、ヒト臨床で行うための準備を進めている。

論文情報:

【Engineering】In Vivo Development of Fetal Pig Kidneys in Mature Monkeys Under Clinically ApprovedImmunosuppressant Drugs

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