松下洸平主演 新作音楽劇「夜来香ラプソディ」熱く語る服部良一、「いつか僕たちの手で音楽を届けられる!」

松下洸平主演 2022年3月上演 新作音楽劇cube 25th presents 音楽劇「夜来香ラプソディ」が開幕。
この舞台は、「感動創造直売企業を作る」を理念に立ち上げられた芸能事務所cubeの創立25周年記念に制作され、演出は河原雅彦、音楽には本間昭光。

物語は、第二次世界大戦末期、租界という治外法権が存在し“魔都”とも称された都市・上海を舞台に、「蘇州夜曲」や「別れのブルース」などを作曲した新進気鋭の作曲家・服部良一(松下洸平)を中心に、「夜来香」の作曲家・黎錦光(れいきんこう =白洲迅)や、絶世の歌姫・李香蘭(りこうらん =木下晴香)など様々な人々が音楽を通じて絆を結び、人種やイデオロギーの壁を乗り越えコンサートを開催しようした、葛藤と夢を描く。
客席通路に日本兵が。それから開幕を知らせるブザーが鳴り響く。黒の燕尾服、手には指揮棒、この物語の主人公・作曲家・服部良一(松下洸平)。シアターコクーンを上海の劇場、南京西路の上海グランドシアター)に見立てて指揮棒を振る。

この物語、ほとんどの登場キャラクターは実在した人物だ。服部良一は言うに及ばず、中国の作曲家・黎錦光(れいきんこう =白洲迅)、この時代、超人気の歌姫・李香蘭(りこうらん =木下晴香)、中川牧三(上山竜治)、テノール歌手、ベルリン芸術大学、ミラノ音楽院、南カリフォルニア大学音楽学部に学び、声楽をオルガ・カラスロワに、和声を菅原明朗に、指揮を近衛秀麿に師事、1932年(昭和7年)、日本人歌手として初めてイタリアのピアチェンツァ歌劇場でデビュー、当時の日本のオペラ歌手としてはトップ。また、マヌエラ、日本人名は山田妙子(夢咲ねね)、実際に上海のナイトクラブで踊っていたし、また、山家亨(山内圭哉)、関東軍報道部所属の少尉であったが、山口淑子を満映に連れて行き、スターにしたのが、彼である。かの川島芳子とも噂になり、映画女優白光との熱愛もあったそうで、とにかくモテまくっていたらしい。また李香蘭の親友であるリュバ・グリーネッツ(仙名彩世)、ユダヤ系ロシア人、満洲時代の友人で、同い年。山口淑子に声楽を勧めたのは実は彼女だった。そして『夜来香』が大ヒットした黎錦光、詳しいことは不明だが、この『夜来香』、確かに中国のメロディであるが、ラテンな香りのするエキゾチックな雰囲気の楽曲、戦後、テレサ・テンがカヴァーしたのが有名。そんなことをちょっと知っておくと物語は俄然リアリティーを帯びてくる。

上海で良一は黎錦光に出会う。二人はすぐに意気投合、同じ作曲家同士であり、音楽で人々の心を豊かにしたい、そんな青雲の志も同じ。若かりし時代、キラキラした二人。そして良一のモノローグ、これまでの自分の生い立ちを語る。20歳の時にJAZZに触れたと語る。当時、JAZZは最先端の”イケてる”音楽。自然と踊りたくなるような「スウィング・ジャズ」、世界を席巻していた。良一はこのJAZZで音楽の感性を磨いた。しかし、時代は戦争真っ只中、すでに作曲家としての地位を確立させていた良一だが、彼の抒情的な音楽は、当然軍部から見れば好ましくない。そんな折に上海に呼ばれた、そのまま日本にいると軍歌を作らされてしまうから、まさに”渡りに船”、意気揚々と上海にやってきたのだった。そして良一は山家亨に会い、山家はコンサートをやると良一に打ち明け、その総指揮をやってほしいと告げる。答えはもちろん、いうまでもなく!そして彼を中心にコンサート実施に向けて皆が動き出すのだった。

音楽はもちろん服部良一の名曲を中心に歌唱されるが、1幕の最初の方でこの舞台のためのオリジナル曲でテーマソングでもある「希望の音」、良一メロディに負けず劣らずな楽曲なので、ここはよく聴いてほしい。そしてストーリーはコンサート実施に向けての”群像劇”なのだが、時折挿入されるエピソードが史実だったりするので、ここも興味深い。李香蘭が記者会見を開き、そこにいた記者の一人から『白蘭の歌』や『支那の夜』など一連の日本映画に出演した理由を聞かれ、さらに「なぜ、あのような映画に出たのですか?中国人でしょう」と聞かれたエピソード、また、「東洋のマタ・ハリ」と言われた川島芳子(壮 一帆)とも親交があったのも事実である。

時は1945年、観客は知っている、この年に終戦を迎えることを。だが、登場人物たちは無論、知る由もない。生き生きと語る良一、「いつか、僕たちの手で音楽を届けられる」と黎錦光に熱く語る。ここでは良一は熱血漢、彼のパッションは周囲の人々を動かす。山家亨は達観したかのような表情で「まもなく、日本は戦争に負ける」と言い、「コンサートは積年の夢」といい良一に「別れのブルース」に感動した話をする。作曲家冥利に尽きる山家の言葉。「やらせてください!」という良一。史実を知っていれば、コンサートはどうなったのかわかってしまうが、「うまくいくかな?」とちょっとドキドキ。

服部良一を演じる松下洸平が底抜けに前向きで情熱ほとばしるキャラクター作りで熱演。また、瓶ビールを飲む時の動作が!!ここは必見。ちなみに服部良一本人もビール党だったそう。また、良一を慕う黎錦光を演じる白洲迅、実直な印象で友情と愛国心に溢れた人物創り。李香蘭は木下晴香、歌唱シーンは聴かせるし、テノール歌手・中川牧三演じる上山竜治、2幕で大活躍!川島芳子役の壮 一帆は出てきただけでかっこいい、スーツ姿もバッチリ!山家亨役の山内圭哉、落ち着いた雰囲気で場面を引き締めていたのが印象的。また、シアターコクーンは時々、大光明電影院(上海グランドシアター)になるわけだが、拍手の場面では盛大に拍手して盛り上げたい。公演は東京は27日まで。その後各地を回り、千秋楽は4月16日。長丁場であるが、無事に千秋楽まで終えられることを願う。

概要
タイトル:cube 25th presents音楽劇『夜来香ラプソディ』 (夜来香 読み:イエライシャン)
演出:河原雅彦
音楽:本間昭光
出演:松下洸平 白洲 迅 木下晴香 壮 一帆 上山竜治 夢咲ねね 仙名彩世 山内圭哉 山西 惇 他
日程・会場:
2022年3月12日(土)〜3月27日(日) Bunkamuraシアターコクーン
2022年4月3月(日) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
2022年4月7日(木)〜4月10日(日) サンケイホールブリーゼ
2022年4月16日(土) 長岡市立劇場 大ホール
企画・製作 株式会社キューブ

公式HP https://www.cubeinc.co.jp/archives/theater/cube25thpresents

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