<金口木舌>指導者の力量

 野球で投手の肩や肘は消耗品と言われる。投球で負荷がかかり、酷使するとけがを招く。過度な投球で投手生命を絶たれた選手もいる

▼高校野球の甲子園大会では選手を守る取り組みが進む。休養日を増やし投球数の制限も導入した。まだまだ改善点もあるだろうが、選手のけが防止のために重要な動きだ

▼全日本軟式野球連盟は学童野球でホームベースのサイズ拡大を決めた。ストライクを入りやすくすることで投球数を抑え、投手の負担を減らすことが狙いだ。将来のある子どもたちが楽しく野球ができる環境が整う

▼多くのプロ選手を育てた九州共立大野球部名誉監督の仲里清氏は、著書で指導者の知識向上の重要性を説く。けがをしない体づくりと運動後の処置方法を学び、選手に分かりやすく伝える技術が求められるという

▼手負いのエースが奮闘して勝利をつかむ。美談として語られたその姿は過去のもの。最も大切なのはスポーツを通した健全育成だ。子どもたちが競技を楽しみ未来につなげるために、指導者の力量が問われている。

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